Trial
●『ATOUN MODEL Y』で20kgと30kgのトランクを持ち上げる
最後にMODEL Yを体験。実際に装着して、ウエイトが詰まったトランクを持ち上げる動作を体験した。ザックを背負うようにショルダーストラップを両肩に掛けて、長さを調整。肩のストラップはキツく締める必要はない。これに対してウエストベルトと太股のベルトはしっかり締める。チェストストラップを締めて、1分もかからず準備完了。電源ボタンを押せば、後は人間の動作に連動して、アシストモード、ブレーキモード、歩行モード(一時機能停止)の状態に自動的に切り替わる。
30kgのトランクに挑戦すると、意外に重い。原因は腕の力で荷物を持ち上げたからだという。腕はアシストされていないため重量が掛かる。腕力のある男性は腕で上げようとしてしまうのだ。腕ではなく腰の屈伸を使って持ち上げると少し楽になった。荷物を持ったまま中腰の状態で静止する。ブレーキモードになるため、この中腰姿勢が持続できる。試しに電源をOFFにすると30kgを中腰キープするのは無理だった。普通に持ち上げるのもサポートされていることを実感できた。電源ONでも30kgはズシリと来るが、20kgならスッと持ち上がった。
さらに、作業をする人には、これが重要だという歩行モードへの移行。2歩以上歩くとアシストがOFFになって自由に歩ける。荷捌き所での作業を見学すると、ベルトコンベアから流れて来る荷物をその場で取り上げるだけでなく、カーゴの方に移動したり、コンベアに沿って歩いたりしている。この時に歩行の邪魔にならず、荷物を持ったら瞬間にアシストしてくれるのが本機のポイントに違いない。他の分野でも効果を実感できるに違いない。腕もアシストされれば、鬼に金棒だ。パワードスーツは私が思ったよりかなり実用化されていた。
文/ゴン川野