文殊様に智恵を請い、厄除けまで願う。ご利益多き一山
さて、平城京(現・奈良市)の場所以外にも案内してもらった寺院があるので紹介しておこう。車で1時間弱南に行った桜井市にある安倍文殊院である。ご本尊は智恵授与や魔除け厄除けをもたらすという文殊師利菩薩(もんじゅしゅりぼさつ)。学業成就や合格祈願の来山者が多く、今年1月1日から2週間程度で掛かったという絵馬が、もう掛ける隙間がないほど掛かっている。合格祈願のために参拝に来た受験生もライバルの多さを実感したことだろう。さらには陰陽師の安倍晴明公の出生の寺としても有名で、その道に興味のある人にとってもご利益多いパワースポットであろう。
1月中旬にすでに絵馬だらけの本堂前。大半が進学受験の合格祈願だ。
安倍文殊院は安倍一族発祥の地とされ、全国に数多いる「安倍さん」のルーツである。内閣総理大臣の安倍晋三氏の名が入った灯篭もあった。民主党政権時代に奉納されたものだ。復権したのも何かのご利益か。
伽藍にある文殊池に突き出るかたちで金閣浮御堂という六角形のお堂がある。ここには厄災を払う「七まいり」という行業がある。カメラマンたるや体が資本。災難除け祈願は必須だと思いやってみる。7枚綴りのおさめ札を授かり、お堂の周りを時計回りに周る。1周するごとにおさめ札箱に1枚ずつ札を入れその都度手を合わせる。これを7回繰り返す。南側の通路は非常に狭くなっていてお堂内のご本尊と壁を隔てて近づくようになっている。有難く素敵なつくりだが池に落っこちないかヒヤヒヤしてしまった。
文殊池に突き出た金閣浮御堂には、ご本尊の弁財天、厄除けご本尊の九仏が祀られているほか、陰陽道にまつわる資料などが保管されている。
「七まいり」用のおさめ札は七枚綴り。これを一周するごとにおさめ札箱に入れて祈る。一生で出くわすと言われる七つの思いがけない災難から守ってくれるという。身に付けるものとして肌守りのお守りも授かる。
浮御堂の通路は神仏が安置されている壁際だけ狭くなっていて、壁越しだが神仏の近くに寄ることができるという粋なつくり。しかし本当に狭いので物を池に落としてしまわないかハラハラした。厄除けまいりのために災難にあうわけにもいくまい。
安倍文殊院
〒633-0054 奈良県桜井市安倍山
JR・近鉄桜井駅より徒歩20分 無料駐車場有
拝観時間9:00〜17:00
拝観料
A.本堂 国宝文殊菩薩(お抹茶・菓子付き) 大人700円、小学生500円
B.金閣浮御堂(七まいりおさめ札・お守り付き) 大人700円、小学生500円
A+B 共通拝観券 大人1200円、小学生800円