「急で悪いんだけど、○ヶ月後に、××に行ってくれない?」
ある日突然上司からやってくる転勤の辞令。
特に遠方への転勤だと、今までと環境がガラッと変わるために、戸惑うビジネスパーソンも多いことだろう。
もちろん、当事者だけではなく、付いていく家族にも少なからず負担がかかるものだ。
そこで今回、転勤経験のある既婚男性ビジネスパーソン500名と、夫の転勤に伴い一緒に引越しをした経験のある既婚女性“転妻(てんつま)”500名の計1,000名を対象にした「ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査」の結果が発表されたので、紹介していきたい。
「転勤時は家族一緒」という希望は叶わず? 直近の転勤では男性の3人に2人が「単身赴任」
転勤を経験した既婚男性ビジネスパーソン500名(以下、「転勤経験のある既婚男性」)と、夫の転勤に伴い一緒に引越しをした経験のある既婚女性“転妻(てんつま)”500名(以下、「転妻」)を対象に、転勤に関する意識や実態についての質問が行われた。
まず、希望の転勤スタイルとして、「自身が転勤する際に、家族も一緒に引越しをすることが現実的に望ましいと思うか」と尋ねる調査では、転勤経験のある既婚男性(500名)で「はい」が66.8%となり、家族一緒に暮らしたいと感じる人が多数派であることが明らかに。
また、転妻(500名)においても「はい」が78.2%となり、“転勤は家族と一緒”が望ましいと考える人が大半となっている。
次に実態として、直近の転勤経験では家族も一緒に引越しをしたか、単身赴任だったかを尋ねる調査が行われたところ、「家族一緒に引越し」は32.8%、「単身赴任」は67.2%となった。
希望の転勤スタイルは「家族一緒に引越し」が多数派、実態は「単身赴任」が多数派という、理想と現実のギャップが見て取れる結果となっている。
子どもの有無別では、「家族一緒に引越し」を選んだのは子どもがいる人で33.1%、子どもがいない人で31.6%と傾向に大きな差はみられなかったが、子どもの成長段階別では差がみられ、子どもが就学する頃から「家族一緒に引越し」を選ぶ割合が増え、子どもが中学生の人では42.0%と最も高くなった。
子どもの就学状況は、転勤で家族一緒に引越しをすべきか考える際に、影響を与える要素となっているようだ。
転勤時の苦労 TOP3は「引越しの荷造り」「引越しの手続き」「新居探し」
転勤に伴い家族と一緒に引越しをする場合、家族は生活環境の変化に備え、さまざまな準備が必要となる。
転勤経験のある既婚男性と転妻のうち、転勤で家族一緒に引越しをした人(549名)を対象に、転勤の際に苦労したことを尋ねる調査では、「引越しの荷造り」が69.8%でダントツとなり、「引越しの手続き(届出・公共料金など)」(58.7%)、「新居探し」(43.7%)が続いた。
膨大な労力が必要な家財道具の荷造りや、自治体などの各種手続きに苦労した人は半数を超える結果に。
男女別にみると、「不用品の処分」を挙げたのは男性で14.6%、女性で33.2%と、女性のほうが18.6ポイント高くなった。不用品の処分は妻の役割になっている家庭が多いことがうかがえる。
子どもがいる人では「子どもの園・学校探し」(27.4%)や「子どもの転園・転校手続き」(26.3%)が、苦労したこととして挙がった。
また、転勤前の住宅が持ち家(自分または配偶者名義、夫婦共有名義)の人(以下「持ち家の人」)では、「住宅の対処(住まなくなった持ち家をどうするか)」(51.7%)が1位となっている。持ち家をどうするかという点は、転勤時の悩みのタネとなっているようだ。
転勤時に住まなくなった持ち家をどう対処した? 「身内以外に貸した」4割弱、「空き家」3割弱、「売却」2割強
転勤の際に持ち家の人が苦労したことの1位は「住宅の対処」となったが、実際はどのように対処したのだろうか。
家族一緒に引越しをした持ち家の人(116名)を対象に、転勤の際に持ち家をどのように対処したか尋ねる調査が行われたところ、「賃貸物件として第三者に貸した」が37.1%で最も高くなり、次いで「空き家の状態で保有した」(27.6%)、「売却した」(22.4%)となった。
また、その対処法を選んだ理由を自由回答形式で尋ねる調査が行われたところ、【賃貸物件として第三者に貸した】人では「資産として手離したくなかったのと、老後の住まいとして持っておきたかったから」や、「少しでも収入を得て、転勤先の借家の家賃にするため」などの回答が挙がった。
【空き家の状態で保有した】人では「短期間の転勤だったから」や、「戻ってくることが決まっていたから」、【売却した】人では「管理ができないから」や、「新築を購入したから」といった理由が挙がるという結果に。
次に、その対処法にどの程度満足しているか尋ねる調査が行われたところ、「賃貸物件として第三者に貸した」では『満足(計)』(「とても満足」と「やや満足」の合計、以下同じ)の割合が72.1%となった。
また、「空き家の状態で保有した」は56.3%となり、空き家状態として保有するよりも、他人に賃貸するほうが満足度は高いようだ。
さらに、賃貸物件として第三者に持ち家を貸した対処法に『満足(計)』とした人(31名)に、その理由を尋ねる調査が行われたところ、「家賃収入が得られた」(74.2%)が最も高くなった。持ち家が新たな収入源となったことに満足している人は多いようだ。
次いで「きれいに使ってもらえた」「家の老朽化を防げた」「元の勤務地に戻った時にまた住めた」(同率29.0%)となり、住宅の劣化防止や、住み慣れた持ち家に再び住めるといったことをメリットと感じる人も少なくないようだ。
転勤で家族一緒に引越し、持ち家はどう対処する? 相談した相手 TOP2は「親」「賃貸管理会社」
続いて、転勤の際に家族一緒に引越しをした持ち家の人(116名)を対象に、住宅の対処について誰に相談したか尋ねる調査では、「親」が33.6%で最も多く、次いで「賃貸管理会社」が25.0%、「友人・知人」が15.5%となった。
身内のほか、賃貸物件の管理・運営を行うプロフェッショナルである賃貸管理会社にアドバイスを求めたという人も多数みられた。
就業経験がある転妻の半数超が「辞める可能性があると正社員として働きづらいと感じた」と悩む
夫の転勤に伴い一緒に転居をする妻は、転勤に対してどのような思いを持っているのだろうか。転妻(500名)を対象に、夫の転勤にまつわる自身の経験や意識について質問が行われた。
まず、夫の転勤の前に自分自身も仕事をしていたことがあるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は62.0%、「ない」は38.0%となり、転妻の6割強は自身も仕事をしていたことがあると回答した。
次に、夫の転勤前に仕事をしていたことがある転妻(310名)を対象に、夫の転勤によって自身が感じたことを尋ねる調査が行われたところ、【辞める可能性があると思うと正社員として働きづらい】は「感じたことがある」が半数超(52.3%)となった。
転妻であるために、正社員として勤務することに難しさを感じている女性も多いようだ。
また、【夫が転勤族だと正社員として採用されづらい】は「感じたことがある」は42.9%、【辞める可能性があると思うと仕事に打ち込めない】では「感じたことがある」は34.5%という結果に。
そのほか、【せっかく築いたキャリアを継続できずにくやしい】は「感じたことがある」が38.7%、【夫ばかりキャリアを継続しズルいと思う】は「感じたことがある」が20.0%となった。
夫の転勤が、自身の仕事上のキャリアに影響を及ぼすことに対し、ネガティブな感情を抱いている女性も少なくないようだ。
また、子どもがいる転妻(387名)を対象に、転勤先でのママ友作りで苦労したことがあるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は49.4%、「ない」は50.6%と、両者が拮抗する結果に。
子どもの成長段階別にみると、転勤先でママ友作りに苦労したことがある人の割合は、未就学児のママで63.8%と最も高くなった。
未就学児のママは、知らない土地で公園デビューや支援センターデビューをするなど、一から始めるママ友作りに苦心した人が多いようだ。
転勤での苦労を共に乗り越えて夫婦愛が深まる? 「転勤を繰り返して夫との絆が強まった」転妻の39%
転妻(500名)を対象に、転勤が夫との関係性や家族の生活に及ぼした影響について調査が行われた。
結婚前の交際期間中に【(現在の夫の)転勤がきっかけで結婚をした】は、「あてはまる」が14.8%となった。恋人同士が離れ離れになるか、一緒についていくか選択を迫られることで、結婚につながったという人もいるようだ。
また、【転勤を繰り返したことで、夫との絆が強まった】は、「あてはまる」が39.2%という結果に。生活の変化などの苦労を共に乗り越えたことで、夫婦の絆が強まったという人は少なくないようだ。
【転勤によって嫁姑問題が解決した】は、「あてはまる」が15.8%。姑と同居を続けていたり、近くに住んで頻繁に行き来したりしていると、嫁姑の間に軋轢が生じてしまうこともあるが、引越しによって距離が生まれることでお互いの関係が改善したというケースもあることが明らかに。
「出世しなくてもいいから転勤を断ってほしいと思ったことがある」転妻ママの31%
転妻の生活についてみてきたが、自分が転妻となったこと自体は、どのようにとらえているのだろうか。
転妻(500名)を対象に、転勤族の妻になったことを後悔しているか尋ねる調査が行われたところ、「している」は14.2%、「していない」は85.8%となった。引越しや転勤先での新生活などの苦労が多い転妻だが、後悔していないという人が大多数のようだ。
子どもの有無別にみると、子どもがいる人では後悔「している」割合が16.3%となり、子どもがいない人(7.1%)に比べて高くなった。子どもの転園や転校などをネガティブに感じる人もいる実情がうかがえる結果になった。
また、出世しなくてもいいから転勤を断ってほしいと思ったことがあるか尋ねる調査において、「ある」は28.2%、「ない」は71.8%となった。夫の出世のためなら転勤生活を受け入れるという転妻が多数派であることが明らかに。
子どもの有無別にみると、転勤を断ってほしいと思ったことがある人の割合は、子どもがいる人では31.0%となり、子どもがいない人(18.6%)より高くなっている。
これを言われたら夫の転勤先についていこうと思えるセリフ 1位は率直に堂々と「ついてきてほしい」
夫の転勤についていくか、単身赴任をしてもらうか、迷ってしまう妻は多いと思うが、妻はどのような言葉で“ついていこう”と心を決めるのだろうか?
転勤経験のある既婚男性(500名)を対象に、転勤をする際、これを言えば妻はついてきてくれると思うセリフを尋ねる調査において、1位は「ついてきてほしい」となった。“妻についてきてほしい”という気持ちをストレートに伝えることが大切と考えている男性が多いようだ。
2位は「一緒に行こう」となり、“転勤先も妻と一緒に”という気持ちが伝わるセリフが上位にランクインしている。そのほか、3位には「良いところだよ・○○があるよ」となった。転勤先が魅力的なら、妻が喜んでついてきてくれると思う男性もいるようだ。
また、転妻(500名)を対象に、夫の転勤の際、これを言われたら夫についていこうと思えるセリフを尋ねる調査において、1位は「ついてきてほしい」だった。
転勤経験のある既婚男性と同じ結果になったが、転妻がこのセリフを選んだ件数は95件と、2位「一緒に行こう」(30件)に大きな差をつける結果となっている。「ついてきてほしい」という、妻を引っ張るような、率直で堂々としたセリフにぐっと来てしまう転妻が多いようだ。
4位は「家族一緒に暮らしたい」となり、家族の絆を大切にする夫の言葉に、安心してついていこうと感じる妻も少なくないことがわかる。
単身赴任を避けるために夫が絶対に言わないようにしているセリフ 1位「一人のほうが楽だから・気楽だから」
では、反対に、妻が“絶対についていきたくない”と感じる夫の言葉とは、どのようなものなのだろうか?
転勤経験のある既婚男性(500名)を対象に、単身赴任を避けるために、絶対に言わないようにしているセリフを尋ねる調査が行われたところ、「一人のほうが楽だから・気楽だから」が1位となった。
たとえホンネだとしても、“一人が楽”などと発言して、妻の気分を害さないように気を遣っている男性が多いのではないだろうか。
また、転妻(500名)を対象に、夫の転勤の際、これを言われたら絶対についていくのをやめると思うセリフを尋ねる調査が行われたところ、1位は「ついてくるのが当たり前でしょ」となった。
妻のさまざまな苦労を無視するかのような“当たり前”というワードに、カチンと来てしまう人が多いようだ。そのほか、上位には「どっちでもいいよ」が3位でランクイン。夫の曖昧な態度に幻滅するという妻が少なくないことが明らかに。
転勤先ランキングで「福岡県」2冠 住みやすさ1位「福岡県」、美食1位「北海道」、美男美女の宝庫1位「福岡県」
慣れない土地での生活は不安がつきものだが、いざ移り住んでみると、その土地の魅力に惚れ込んでしまうということもあるのではないだろうか。
そこで、全回答者(1,000名)を対象に、これまでに転勤で行ったことがある都道府県を聞いた上で、「住みやすい」、「食べ物がおいしい」、「美男美女が多い」と思う都道府県を、実際に行った中からそれぞれ選んでもらう調査が行われた。
まず、これまでに転勤で行った都道府県の中で、住みやすいと思った都道府県を尋ねる調査が行われたところ、1位は「福岡県」(79.8%)、2位は「北海道」(71.7%)となった。交通や買い物などの便が良く、豊富なグルメでも知られる福岡県が、住みやすさNo.1という結果に。
次に、これまでに転勤で行った都道府県の中で、食べ物がおいしいと思った都道府県を尋ねる調査が行われたところ、1位は「北海道」(94.3%)となった。海産物や農産物の宝庫で特産品が多い北海道は、転勤で住んだことがある人の大多数に評価される結果に。
また、これまでに転勤で行った都道府県の中で、美男美女が多いと思った都道府県を尋ねる調査において、1位は「福岡県」(54.3%)となり、“博多美人”で知られる福岡県が、住みやすさランキングと合わせ2冠を達成した。
どんな環境でもすぐに溶け込めるイメージの女性有名人 1位「イモトアヤコ」
最後に、全回答者(1,000名)を対象に「転勤」をキーワードにいくつかのイメージを提示し、そのイメージに合う有名人を尋ねる調査が行われた。
まず、どんな環境でもすぐに溶け込めるイメージの女性有名人を尋ねる調査が行われたところ、1位は「イモトアヤコ」、2位は「綾瀬はるか」、3位は「久本雅美」となった。テレビ番組で数多くの国を訪れ、現地の人々と物怖じせずに触れ合う姿が印象的なイモトが1位という結果に。
転勤経験のある既婚男性(500名)の回答では、“インスタ女王”「渡辺直美」が2位となった。
次に、転勤先で出会いたい理想的なママ友のイメージの女性有名人を尋ねる調査が行われたところ、1位「小倉優子」、2位「篠原涼子」「松嶋菜々子」となった。料理上手で知られる2児のママ、小倉優子がトップだった。
転妻(500名)の回答では、2児のママで、ドラマやバラエティ番組で個性を発揮している「木村佳乃」が3位という結果に。
全回答者(1,000名)を対象に、この人と一緒ならどこへ転勤しても不安を感じない、理想のパートナーのイメージの有名人を尋ねる調査が行われたところ、転勤経験のある既婚男性(500名)の回答では、1位「綾瀬はるか」、2位「北川景子」、3位「新垣結衣」「石原さとみ」となり、隣にいてくれると安心できそうな、優しいイメージの女性芸能人が並んだ。
一方転妻(500名)の回答では、1位「西島秀俊」、2位「ムロツヨシ」、3位「大泉洋」「福山雅治」となり、不安な時に笑わせてリラックスさせてくれそうな、相手を思いやる優しさと気さくさを兼ね備えたイメージの男性芸能人が上位となった。
※東急住宅リース調べ
≪調査概要≫
調査タイトル:ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査2019
調査対象:ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする
転勤を経験した既婚男性ビジネスパーソンと、
夫の転勤に伴い一緒に引越しをした経験のある既婚女性
調査期間:2018年12月25日~2019年1月7日の14日間
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1,000サンプル
出典元:東急住宅リース株式会社
構成/こじへい