(6)くまのパディントン
2017年に亡くなったイギリスの児童文学作家マイケル・ボンドの『くまのパディントン』が原作。
パディントンのモデルとなったのは、原作執筆当時イギリスに大勢いた戦争孤児。親が子どもへの想いを託した札を首から下げてトランクひとつでやってきた孤児たちの姿に心を痛めたボンド氏は、くまのパディントンという愛らしいキャラクターを通して慈しみの大切さを伝えた。
『パディントン』(2014年)
旅行帰りのブラウン一家は、パディントン駅でポツンと座っているくまに遭遇。どこにも行く当てがないくまを不憫に思ったブラウン一家は、くまに“パディントン”と命名し一緒に暮らすことにする。
『パディントン2』(2017年)
すっかりブラウン家に馴染んだパディントン。ある日パディントンは、アンティークショップで素敵な絵本を見つける。その絵本をルーシー叔母さんへのプレゼントにしたいと考えたパディントンは、お手伝いをして一生懸命お小遣いを貯める。
しかし、その絵本は何者かに盗まれた上に、パディントンが容疑者として逮捕されてしまう。
(7)80年代不朽の名作
80年代には、不朽の名作ファンタジー映画がいくつも誕生した。今見ても色あせない面白さを持つ作品をご紹介しよう。
『ネバーエンディング・ストーリー』(1984年)
ドイツ人作家ミヒャエル・エンデの児童小説『はてしない物語』が原作。主題歌であるリマール『The Neverending Story』と共に、世界的大ヒットを記録した。
いじめっ子に追いかけられた主人公バスチアンは、逃げ込んだ古本屋で『ネバーエンディング・ストーリー』という題名の不思議な本を見つける。本に登場する架空の世界“ファンタージェン”では、何もかも消し去る“無”という現象が蔓延。ファンタージェンの危機を救うため、主人公である勇者アトレーユが立ち上がるというストーリーだ。
夢中になって読みふけるうちに、バスチアンはいつの間にか本の中に吸い込まれてしまう。
『E.T.』(1982年)
スティーブン・スピルバーグ監督による世界的大ヒット作。
宇宙船で地球に立ち寄った際に、ひとりだけ取り残された宇宙人。彼を発見した子どもたちは、大人には内緒で友情を育み、宇宙にいる仲間のもとに返そうと奔走する。心温まるSFファンタジー。
『グレムリン』(1984年)
愛らしいモンスターが登場する『グレムリン』も、80年代を代表する不朽の名作。主人公“ギズモ”のグッズ(ぬいぐるみやTシャツなど)は、公開から30年以上経った現在でも根強い人気を誇っている。
青年ビリー・ペルツァー(ザック・ギャリガン)は、クリスマスに父親から不思議な生物“モグワイ”をプレゼントされる。生態をよく理解しないままとりあえず“ギズモ”と命名し可愛がるが、モグワイには増殖し凶暴化する性質があることが後に判明する。
『となりのトトロ』(1988年)
宮崎駿監督、スタジオジブリ制作。古き良き日本の田舎を舞台にした、ノスタルジックなファンタジー。
病気で入院している母親の療養のため、家族で田舎町に引っ越してきたサツキとメイの2人姉妹。豊かな自然に囲まれた引っ越し先で新生活を満喫していたサツキとメイは、ある日不思議な巨大生物“トトロ”に遭遇する。
『天空の城ラピュタ』(1986年)
宮崎駿監督、スタジオジブリ制作。ジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』に登場する“ラピュタ王国”から着想を得た作品。
鉱山で働く少年パズーのもとに、ある日空から少女がゆっくりと落ちてきた。少女の名前はシータ。“飛行石”という大変貴重な石のペンダントを身につけているため、複数の人間に追われているのだという。シータを守りながら共に逃げるパズーは、亡き父が信じていた伝説の城ラピュタが本当に存在していることを確信する。
文/吉野潤子