少々複雑であるため、知らないことも多い日本の年金制度。皆さんはこの年金制度において、2つの“減額”の仕組みがあるのはご存知だろうか?
2つの“減額”とは自分たちが納めなければならない年金保険料を減額してもらう仕組み、そしてもう一方は自分たちが65歳以上(特別支給の場合は60歳以上)から受給できる老齢年金が減額される仕組みのことである。今回は少し分かりにくい、この2つの“減額”の仕組みについて説明していく。
年金の減額を申請できる
まずは年金保険料を“減額”してもらう仕組みについて説明する。経済的に苦しく、年金を支払うことができない人のために保険料免除制度という仕組みがある。所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、申請書を提出し、その後承認されると保険料の納付が免除(減額)になる。
年金の減額率は?
なお、免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類がある。さらに、免除期間中の保険料は減額(全額、4分の3、半額、4分の1)されているが、減額にされた分の半分を国が税金から負担してくれるので、例えば全額免除の場合、満額支払っている人の半額を将来年金として受給することができる。
理由によっては減額ができない場合も
年金が払えないという人はまず、自分が住んでいる地域の年金事務所または役所の年金課に相談に行き、年金保険料の支払いの免除・猶予を希望している旨を伝える必要がある。ただし申請の理由によっては必ずしも免除・減額が認められる訳ではないので、注意してほしい。
年収によっては年金受給額が減額される
次に自分たちが受給できる老齢年金が“減額”される仕組みについて説明する。一般的に65歳から老齢年金を受給することができるが、現在は65歳以上でも仕事を続ける人が増えている。しかし、この時に給与収入が一定の金額を超えてしまうと、年金受給額が減額されてしまう可能性も存在する。
年金と給与所得の関係
年金受給額の減額対象となる給与所得の基準は65歳未満と65歳以上で異なっており、65歳未満は老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円以上、65歳以上は老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が46万円以上となっている。
上記の基準は「老齢厚生年金の基本月額」となるので、自営業やフリーターの人などが対象になる「国民年金加入者」は対象外となることも覚えておいてほしい。
年金減額の計算方法
それでは、年金減額の計算方法について具体例を挙げながら簡単に説明していく。まず基本的な計算式は以下のようになる。
・基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-46万円)÷2
仮に老齢厚生年金の基本月額が16万円、総報酬月額(給与所得)が34万円の場合も想定すると、
・16万円-(16万円+34万円-46万円)÷2=14万円
すなわち、年金受給額が14万円ということになるので、基本月額の16万円から2万円減額される計算になる。