スペースを有効活用できる高機能商品の評価が高まる
二番目のポイントが「高機能化」。たとえば台湾の分譲マンションは、中国式の骨組みオンリーのスケルトン方式とも少し違い、内装が全て出来上がった状態で販売される「一次内装」と呼ばれるスタイルで販売するのが一般的だ。キッチンやバスルームなどの水まわり、配線などの基本設備は設置され、床や壁クロスなどの「二次内装」デザインは、購入者が後から別業者に依頼し、自由に仕上げる仕組み。つまり水まわり部分は、自由にデザインできる内装部分と違ってあらかじめ設置されていることが多く、マンション購入時のポイントの一つになる。
その一例として、今回は、新北市にある29階立ての高層マンション「合環御實」を見学した。
「合環御實」は、台湾のバブル期に建設。見学した部屋は3LDK、約90坪で販売価格6,300万元(日本円で約2億6000万円)という億ション!
そもそもこのマンション、地下から湧き出る天然温泉がウリで、パブリックスペースのデザインに箱根の名旅館「強羅花壇」や東京・青山の商業ビル「TERRAZZA 青山」などでも知られる日本人建築家・竹山聖氏を起用。温泉、日本人デザイナーの起用を含め、日本的な感性をアピールすべく、キッチンにはパナソニックの高価格帯システムキッチン「Lクラス」が採用されている。
2棟214戸に、パナソニックの高機能システムキッチン「Lクラス」を納入。
実は従来の台湾では、デザイン性の高さからヨーロッパ製キッチンを好む向きが多かった。しかし近年、住宅価格が高騰、一戸あたりの居住空間が制限されるなか、空間を有効活用できる日本式の住宅設備が話題に。実際にパナソニックのシステムキッチンが採用された同マンションでも、自動昇降機能付き食器棚や先進の水洗設備、シンプルなデザインや扉素材などを自由に選べるカスタマイズ性などが相まって、入居者の満足度も高いそうだ。
高齢化対策の進んだノウハウを未来の高齢大国へ導入
そして最後が「高齢化」。2015年時点、中国、台湾、日本における65歳以上の高齢者人口の割合は、日本が総人口の26%、0.33億人と人口比率では最も高い。ただし、たとえば中国の高齢者は比率では10%に止まるものの、その数は既に日本の総人口を超す1.4 億人。今後、2030年には2.5 億人(人口比率17%)、50年には3.6億人(人口比率26%)にもなると予想され、台湾も2050年には高齢者率が35.7%にも拡大、世界一高齢化が進む国になる見込み。
これらの国々に対し、先に高齢化社会を迎えた日本では、バリアフリー型のバストイレや介護ベッドといった高齢者配慮型の住宅設備商材、知見に関しても一日の長がある。つまり、ここにも勝機ありと言うわけだ。