■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
メルセデス・ベンツのセダン「Cクラス」に、6500か所もの変更が施された。ヘッドライトがLEDに変更されたり、テールライトが変わったり、実物を前にすると一目瞭然だ。車内も、メーターパネルが12.3インチの全面デジタルディスプレイに変わり、センターの10.25インチのモニター画面と併せて使う。
「Cクラス」よりもひとつ上級の「Eクラス」では、これらが一体化されて“これはもうスケートボードか!?”というくらいの横長のモニター画面となっていた。しかし、「Eクラス」ほどデコラティブではない、「Cクラス」のインテリア各部分の造形は実質的で、日常的な用途としては適しているように思えた。
機械として優れているか? ★★★★★(★5つが満点)
新型「Cクラス」はセダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレとボディーは4種類、パワートレインも7種類を数える。その他にAMG仕様もあるから、膨大なモデル数となる。その中でも注目のパワートレインは、「C200」に搭載される新設計の1.5?、4気筒ターボガソリンエンジンだ。BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)と48ボルト電気システムを搭載した、いわゆる「マイルドハイブリッド」タイプのパワートレインになるが、エンジンでは不得意な領域を電気パワーによってカバーしようとしている。
具体的には、始動時に電気パワーで行なうことによって、ショックが少なく、静かで滑らかになることがまずひとつ。また、変速時や上り坂や高速道路での加速などでもエンジンパワーを補佐している。その働き具合は静かかつ滑らかなのでなかなか体感しにくいが、試乗後に自分のクルマに乗ったところ、その差は歴然としていて驚かされた。BSGと48Vシステムのメリットはパワーや快適性だけでなく、燃費にも有利に働くので、今後より多くのエンジンに採用は広まっていくのではないだろうか。
この新エンジンの排気量は1.5?だが、電気パワーとターボ過給によって実用的に充分以上の動力性能を発揮している。パワートレインの力の多寡はもはや排気量だけでは判断できなくなっていて、他のドイツの自動車メーカーもおしなべて同じ傾向がある。“マイルド”か“ストロング”かを問わず電気のパワーを組み込み、過給も行う。いま、自動車のパワートレインのあり方が大きく変化してきていて、その中にあって、このエンジンはそれを体現している。
改変前の「Cクラス」で感じられたやや固め、強めの乗り心地がマイルドになったのはとても好ましい。ランフラットタイヤを採用しなくなったことの好影響なのかもしれない。試乗した「C200アバンギャルド」は、オーソドックスなサスペンションが装着されていたが、オプションで新しい電子制御ダンパー付きコイルサスペンション「ダイナミックボディコントロール」を選ぶこともできる。
「C200アバンギャルド」の後に乗った「C180カブリオレ・スポーツ」には、これが装着されていた。タイヤからのショックや振動などのほとんどすべてを包摂し、とても優しく、それでいてコシの強い、二律相反するはずの乗り心地と操縦性を高い次元で両立していて素晴らしかった。ぜひ、オプションに選びたい。