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カイロの使い方に要注意!実は重症になることが多い「低温やけど」

2019.01.26

医師がすすめるカラダにイイこと!教えてDr倉田

ヤケドは気温が下がり、暖房を使う冬に多く発生します。

火事や熱湯を被るヤケドに比べて、軽そうなイメージがある「低温ヤケド」についてご説明します。なお「通常のヤケド」は「高温ヤケド」と便宜的に記載します。

気持ち良いのに危険! 低温ヤケドはウェルダン!?

熱したフライパンにステーキ肉を入れると、短時間で表面は良く焼け、中はレアで肉汁が残ります(レア)⇒「高温ヤケド」。

温度が低いまままのフライパンで、じっくり焼くと、表面が焼ける頃には、中の深い部分も、十分に火が通ります(ウェルダン)。

じっくり時間をかけて熱が浸透するので、「低温ヤケド」はウェルダンに似ています。

直接火に触れたり、熱湯がかかったら、ほんの一瞬で「熱い!」と反応し、反射的に熱源から離れる(皮膚と熱源接触時間は短い)ので、「ヤケド」は皮膚表面に留まります。

「高温ヤケド」は、「熱源温度が70℃なら約1秒」で発生します。

「低温ヤケド」の場合、「暖かくて気持ちが良い、体温より少し高い位の温度」で発生します。『44℃では3~4時間、46℃では30分~1時間、50℃では2~3分』、「高温ヤケド」に比べると低い温度でも、熱源に触れる時間が長いことで「低温ヤケド」につながります。

“ヤケド”の発生数は分からない??

集中治療が必要な重症のヤケド患者数(入院治療)は、全国で推計2000~3000人程度、東京都内でも1年間で300人前後の方が治療を受けています。

外来治療だけや医療機関自体を受診しない「軽症ヤケド」を含めれば、この何倍もの数字になる筈です。現代はエアコンや石油ファンヒーターが暖房器具の主流になっているため、昔に比べれば「ヤケド」は減少しているでしょう(石油ストーブの上のヤカンを目にする機会も減っています)。

実は「ヤケド」全体の発生数がハッキリしないので、「低温ヤケドの発生数」も不明なのです。

「低温ヤケド」に要注意な○○??

「手軽で温かく、安価」という三拍子そろった保温器具「カイロ」。1978年に袋から取り出して振るだけで温かくなる「使い切りカイロ」が世界に先駆けて日本で開発されました。1988年「貼るタイプ」が登場し、「靴用、靴下用、中敷き用、座布団用」など様々な商品が登場し、1年間で17億枚以上が販売されています。私自身愛用していますが、身近であるだけに使い方に注意が必要だと考えます。

女性

冷え症に悩み、腰や足などにカイロを貼る女性は多いです。カイロの温度は約60℃ですが、貼っている場所に「足元ヒーター」など他の暖房が加わると、温度が75℃まで急上昇することもあるので注意が必要です。

児童(幼児)

小さなお子さんは、熱いかも? と感じても、はっきり言葉で表しにくいことがあります。

もし「カイロ」を使う時は、周囲の大人たちが十分注意してあげる必要がありますね。

老人(高齢者)

カイロによる「低温ヤケド」のうち、60歳以上の占める割合は約40%です。

年齢が進むことで「体が動かしにくくなる、糖尿病を患い足先の感覚が鈍くなっている方」は、熱さ感覚が少なくなるので、本人だけでなく周囲の人達も注意しましょう。

一方、30~40歳代の方も約36%を占めていて、@DIMEを読んでいる皆さんも決して他人事ではないのです。

飲酒

お酒を飲んで寝込んでしまうと、寝返りの回数が減ったり、熱さを感じにくくなっています。製品によっては「カイロを貼ったまま就寝しない」注意書きがあるほどです。

寝る前にカイロは外しましょう。

肌着

「吸湿性発熱繊維」という汗などの水分を吸収して発熱する繊維を使用した肌着、私を含め愛用する方いますよね。

保温性に優れている一方、「キュッと締めつられている」ことが多いと診療の中で感じます。皮膚は、肌着やベルトなどで部分的に圧迫されると血の巡りが悪くなります。

この場所に長時間「カイロ」を貼っていると、熱が逃げず温度が高くなり「低温ヤケド」になりやすいです。

「貼るカイロ」は、”下着の上に貼るのが基本”ですが、時々間違って”下着の下(肌に直接)”貼ってしまう方もいますが、やめて下さいね。

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