人手不足が叫ばれている中、あと11年後の2030年にはどのくらいの人手不足になるのか。その推計値が、株式会社パーソル総合研究所と中央大学教授・阿部正浩が行った共同研究によって分かった。また、どの業種や職業が最も人手不足になるのか、どの都道府県が最も人手不足になるのか、という推計値も出された。その結果と共に、どのような対策があるのかも見ていこう。
2030年にはどのくらいの人手不足になる?
人手不足はより一層深刻化している。厚生労働省 一般職業紹介状況によると、2018 年5月の有効求人倍率は 1.6倍と、1974 年 1 月 (1.64 倍)以来、44 年 4 カ月ぶりに 1.6 倍台に達し、9月には1.64倍となっている。
また帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2018年10月)」では、正社員が不足していると回答した企業は全体の52.5%を占めた。これは前年同月の同調査から3.4ポイント増という結果だ。
では、2030年にはどのくらいの人手不足になるのだろうか。
パーソル総合研究所と中央大学が出した「労働市場の未来推計2030」によると、「644万人不足」となるという。これは、「労働需要7,073万人―労働供給(※失業者61万人を除く)6,429万人」のという計算式によるもの。
2030年までの人手不足数と実質賃金の推移は次のようになる。
出典:パーソル総合研究所×中央大学「労働市場の未来推計2030」より
2030年の人手不足「産業別」「職業別」「都道府県別」
続いて、産業別、職業別、都道府県別にみていこう。
●産業別
出典:パーソル総合研究所×中央大学「労働市場の未来推計2030」より
産業別にみると、最も多いのが「サービス業」、次いで「医療・福祉」「卸売・小売」「製造業」と続く。
●職業別
出典:パーソル総合研究所×中央大学「労働市場の未来推計2030」より
職業別にみると、最も人手不足となると予想されるのは、「専門的・技術的職業従事者」の研究者、製造技術者、情報処理・通信技術者、医師、保育士、裁判官、公認会計士、教員等。
次いで「事務従事者」の庶務事務員、人事事務員、企画事務員、総合事務員、秘書、会計事務従事者等となった。
●都道府県別
出典:パーソル総合研究所×中央大学「労働市場の未来推計2030」より
出典:パーソル総合研究所×中央大学「労働市場の未来推計2030」より
都道府県別では、50万人以上不足するのは、東京都、神奈川県、20万人以上50万人未満不足するのは埼玉県、千葉県、静岡県、愛知県、兵庫県となった。