どこかの会社やチームに所属して働いている場合、一緒に働くメンバーから「一緒に働きたい」と思わせることができれば、コミュニケーションも円滑になり、きっと優れた結果も出せるはずだ。そのためのワザを識者に聞いた。
「この人と一緒に働きたい!」と思う言動とは?
社内で同僚や部下、そして上司までもが、自分に対して「この人と一緒に働きたい!」と思ったとすれば、それほど仕事がやりやすいことはない。そんな人になるには、どうすればいいだろうか。社内育成のコンサルタントや講師として活躍する余語まりあさんに、人から「一緒に働きたい」と思ってもらえる言動を挙げてもらった。
「まず、見た目の印象が基本です。清潔感と好感がある見た目、という前提のもと、次のような行動や発言ができれば『一緒に働きたい』と思ってもらえると思います」
●話を聴く
「『聴く』という字のごとく、耳で聞き、プラス、目で観察し、心で感じながら聴くことです。頭ごなしに話の最初から否定したり、聴く耳を持たなかったりするのはNG。『聴く』は最高の相手への関心を表すコミュニケーションです。学校などでは『聞く』はしてきましたが、積極的に『聴く』は習ってきませんでした。だから日本人は苦手なところもあります。目の前の人に関心を持って聴くことで受容される第一歩です」
●周りの人の可能性を会話の中の質問で引き出す
「『聴く』からさらに進んで、職場で関わる相手の中に眠る潜在的な可能性を、効果的な質問力で引き出すと、命令で何かを伝え、行わせるよりも相手は自主的に行動したくなります。自身の成功法則になり、お互いが自ら考え、自走するようになります。また上司と部下の関係の場合は、叱る、命令するよりも、その前に質問する力を身に付けることで、部下は自分で答えを導き出し、その言葉に責任を持ち、動き出す仕組みにもつながります」
●励ます
「話を聴き、質問で引き出し、その後、背中を押す『励ます』も有効です。よく、褒めるといいと言われますが、褒めるのではなく『励ます』が大事です。人は期待され、励まされることで必要以上の成果を出します。褒めることは良くないわけではないですが、それ以上の伸びしろで言いますと『励ましコミュニケーション』のほうが効果的です。そしてその励まし方は具体的に伝えたほうが、より信憑性があります、それをしようとする場合、お互いをよく観察していないとできません」
●前向きな言葉を発する
「日々のコミュニケーションの中で、いつも事実をマイナスの視点からしか言葉を発しない人とは、誰もが関わりたくないと思います。常に『大変だ』『疲れた』『やりたくない』『面倒だ』など言う人がそばにいると自分も嫌な気持ちになりませんか? そう言って何か楽になったり、仕事が減ったりするわけでもないのに、マイナス的な言葉を使っていると、その雰囲気は伝染します。たとえマイナスな事実が発生しても、会話の最後をプラスに持って行って終わらせる人には、人が寄ってきます」
●我を外して俯瞰できる
「視点を広く持ち、自身を俯瞰し、我を張らなければ、大概のもめごとや怒りは解決へつながっていると思います。相手目線に立ってものを考えられないからこそ、我を張り、ぶつかるのです。社内で縁があり一緒に働くことになった同僚、上司、部下においても、それまでのキャリアや経験、価値観などそれぞれの人生の背景があることを忘れてはならず、その上で、『今、向かうべき目的のためにどうなのか?』という論点で話ができないと、どうしても良いコミュニケーションは取れなくなってしまいます」