いつもの日常に刺激とスリルをもたらしてくれる、上質なミステリー。物語の中に入り込み、ドキドキワクワクしながら謎解きを楽しむのが醍醐味だ。
今回は、国内外のおすすめミステリー映画を紹介する。お気に入りの作品を、ぜひ見つけてほしい。
おすすめミステリー映画:邦画編
(1)イヤミス
まずは、近年人気の“イヤミス”から。イヤミスとは、イヤ~な気分になる後味の悪いミステリーのこと。謎解きはもちろん、その過程で描かれているドス黒い人間描写も見どころだ。
『告白』(2010年)
“イヤミスの女王”こと湊かなえ原作の『告白』は、中島哲也監督、松たか子主演。愛する娘を教え子に殺害され復讐の鬼と化した教師・森口悠子を、松たか子が熱演している。
『白ゆき姫殺人事件』(2014年)
同じく湊かなえ原作の『白ゆき姫殺人事件』は、中村義洋監督、井上真央主演。化粧品会社に勤務する美人OL三木典子(菜々緒)が殺害される事件が発生。ネット上では、犯人を巡って様々な憶測が飛び交う。真っ先に疑われたのは、被害者の同僚・城野美姫(井上真央)。地味で目立たない美姫は、華やかな美貌の被害者を妬んでいたと言われているが……。
SNSで暴走する集団心理の怖さもテーマとなっている。
『渇き。』(2014年)
『告白』と同じ中島哲也監督による『渇き。』は、深町秋生の小説『果てしなき渇き』が原作。元刑事の藤島昭和(役所広司)が、突然失踪した娘・加奈子(小松菜奈)の行方を追う。加奈子は、成績優秀で容姿端麗で同級生からも人気があるという、非の打ち所がない女の子だ。徐々に明かされる娘の恐ろしい素顔と、主人公が犯した罪に戦慄する。
『愚行録』(2017年)
妻夫木聡と満島ひかりの感情を抑えた演技が光る『愚行録』は、貫井徳郎の同名ミステリー小説が原作。美男美女のエリート夫妻殺害事件を追う週刊誌記者(妻夫木聡)の視点で物語が進んでいく。夫妻を知る人々に話を聞く中で、恐ろしい事実が明らかになる。有名私立大学のスクールカーストも題材になっている。「クズの見本市や~!」と感心してしまうほど、登場人物が皆ひどい。
(2)明るく楽しいミステリー
一応事件は起こっているが、明るく楽しい気持ちになれるミステリー映画もある。
阿部寛と仲間由紀恵のW主演ドラマ『TRICK』の劇場版4部作『TRICK劇場版』(2002年)、『TRICK劇場版2』(2006年)、『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』(2010年)、『TRICK劇場版 ラストステージ』(2014年)は、リラックスしながら楽しめるギャグ満載のミステリー映画。物理学者上田次郎(阿部寛)と貧乏マジシャン山田奈緒子(仲間由紀恵)の凸凹コンビが、摩訶不思議な事件の数々に立ち向かう。
『TRICK劇場版』(2002年)
売れないマジシャン・山田奈緒子は、ある日「糸節村」の青年団団長から「マジックを使って神を演じてほしい」という依頼を受ける。糸節村は、300年に一度亀により災いがもたらされるが神によって救われるという伝説がある村なのだ。お金欲しさに怪しい依頼を受けた奈緒子は、村に到着するなりさっそくトラブルに巻き込まれてしまう。同じ頃、奈緒子の知人で物理学者の上田次郎も、新著の取材のために糸節村に到着する。
『TRICK劇場版2』(2006年)
上田のところに、ある青年から「霊能力者にさらわれた幼馴染の女性を助けてほしい」という依頼がきた。その霊能力者とは、宗教団体「命運共同体箱のゆーとぴあ」指導者の筐神佐和子(片平なぎさ)。
筐神佐和子は、筺神島(はこがみじま)という小さな島を支配下に置いているという。強力なパワーを持つと言われる筐神佐和子に怖気づいた上田は、奈緒子を連れて筺神島に向かう。
『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』(2010年)
上田のところに、またもや村の青年から依頼が舞い込んでくる。青年は、万練村(まんねりむら)の中森翔平(佐藤健)。万練村は霊能力者が統治するのが習わしであり、そのために霊能力者を選抜する“霊能力者バトルロイヤル”が定期的に開催されている。翔平はこれを悪習と考えており、物理学者である上田に「霊能力など存在しない」ことを証明してほしいというのだ。
『TRICK劇場版 ラストステージ』(2014年)
今回上田のところに依頼にやってきたのは、村上商事社員の加賀美慎一(東山紀之)と有田雄一(石丸謙二郎)。赤道スンガイ共和国でレアアース採掘事業を進めているが、現地の人々に崇拝されている呪術師ボノイズンミ(水原希子)が立ち退きを拒んでいるため困り果てているという。上田は今回も奈緒子を引き連れて、赤道スンガイ共和国に飛び立つ。
『探偵はBARにいる』(2011年)、『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013年)、『探偵はBARにいる3』(2017年)は北の歓楽街ススキノのバー『ケラーオオハタ』に入り浸る探偵の俺(大泉洋)とその相棒・高田(松田龍平)が数々の謎を解決するバディもの。北海道の推理小説家・東直己による『ススキノ探偵シリーズ』が原作。笑いありアクションあり、“ルパンと次元”のようなカッコ良さもある。ローカルネタが豊富なので、北海道を訪れた際にロケ地巡りをすると2倍楽しめる。
『探偵はBARにいる』(2011年)
ススキノのバーにいた探偵の俺のもとに、“コンドウキョウコ”と名乗る謎の女性から依頼の電話がかかってきた。正体を明かさないまま、「弁護士の南に、去年の2月5日、カトウはどこにいたかを聞いて欲しい」とだけ告げるキョウコ。簡単な依頼と思いこみ実行した探偵は、その直後謎の集団に拉致され、雪に生き埋めにされて殺されそうになる。さらに、“コンドウキョウコ”という名前は、2年前の放火殺人事件の被害者と同じであることも判明する。
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013年)
探偵の友人であるゲイバーのホステス・マサコちゃんが、マジックの全国大会で優勝した翌日に殺害される事件が発生。手がかりが少なく捜査は難航していたが、調べていくうちにマサコが大物政治家と繋がっていたことが明らかになる。
『探偵はBARにいる3』(2017年)
高田の後輩から「失踪した恋人・麗子(前田敦子)を探してほしい」という依頼を受けた探偵。調査を進めるうちに、麗子がアルバイトをしていたモデル事務所のオーナー・岬マリ(北川景子)に辿り着く。しかし、その直後探偵と高田はマリの手下に襲われる。どうやらマリは、裏社会の大物と通じているらしい……。