「知る人ぞ知る商品」が欠品を起こす商品に
完成した『ラボモ スカルプアロマ ヘアカラートリートメント』は〈ナチュラルブラック〉〈ダークブラウン〉〈ブラウン〉の3色で展開する。マス広告はいっさい打たなかったことから、最初は「知る人ぞ知る商品」だった。
2015年に発売された『ラボモ スカルプアロマ ヘアカラートリートメント』
それでも、その存在はユーザーの口コミによって知られていく。女性誌やコスメ・美容の総合サイト『@cosme』などから軒並み高評価を獲得。知名度はさらに上がっていった。
高い評価に目をつけたのが、テレビ通販大手のショップチャンネルであった。同社とショップチャンネルは以前から取引関係にあったが、ショップチャンネルのバイヤーから「なぜ教えてくれなかったんだ。ぜひ取り扱わせてほしい」というオファーを受ける。
ショップチャンネルでの取り扱いが始まったのは2016年9月から。以降、矢島さんが1時間の生放送で商品について丁寧に説明することにした。
初回放送時の反響は大きく、開始30分で〈ダークブラウン〉が売り切れ、その後〈ブラウン〉も完売。最後は〈ナチュラルブラック〉だけで放送を終えることになった。反響はなかなか収まらず、〈ダークブラウン〉に至っては欠品を起こし、2016年9月9日に、同社では初めて欠品による謝罪のプレスリリースを出したほどだった。
リニューアルで女性のわがままを可能な限り叶える
しかし、商品の優位性はいつまでも保てない。「ショップチャンネル」での取り扱いが始まった直後から、『ラボモ スカルプアロマ ヘアカラートリートメント ヌーボー』の開発に取り掛かった。
開発に当たり矢島さんがまず着手したのが、それまで『ラボモ スカルプアロマ ヘアカラートリートメント』に届いた7000件強に及ぶユーザーの要望を精査すること。矢島さんは、「女性はわがまま。いいものをお得に使いたいだけでなく、簡単であったり仕上がりの完成度を求めています。リニューアルに当たっては、わがままな声を全部拾うことにしました」と言う。
リニューアルで変わったのが色味だ。〈ナチュラルブラック〉〈ダークブラウン〉〈ブラウン〉の3色に変更はないが、白髪染めにありがちな赤みの強さを抑え、色味をオシャレ染めのそれに近づけた。「当社がこれまで蓄積してきたデータを元に、日本人の肌色がキレイに見える色をつくるのですが、現在の流行を加味して赤みを抑えました。これにより、染まるとさらに深みが生まれ、色もキレイに抜けるようになりました」と矢島さんは話す。
髪色見本。上から〈ナチュラルブラック〉〈ダークブラウン〉〈ブラウン〉
また、「スピード&キープ処方」を強化。染まりにくい髪の毛でも早くしっかり染まるよう改良した。具体的には、毛髪補修成分でキューティクルを整えて染料が入る場所をつくってから染料を密着させ、三相乳化球状ラメラで塞ぐようにした。
美容保湿成分は大胆に見直された。それまで7種類だったものが12種類に。しかも、その12種類は、以前の7種類のうち4種類をやめ、新たに9種類追加したものだ。
最新の研究データを元に大胆な変更を試みることにしたが、「ガラッと変えることにしたので怒られました」と矢島さん。中にはダマスクバラ花エキスのように原価が高いことから却下されたものも、無理を言って加えてもらったほど。髪の質感向上のために成分にはこだわった。