■連載/ヒット商品開発秘話
白髪を生かしたグレイヘアが注目を集めているが、若く見られたいと思ったら白髪は染めたくなるもの。とくに女性はそう思うであろう。そんな白髪に悩む女性から高く評価されているのが、アートネイチャーの『ラボモ スカルプアロマ ヘアカラートリートメント』シリーズである。
2015年11月に発売された『ラボモ スカルプアロマ ヘアカラートリートメント』シリーズ最大の特徴は、使い方が簡単で早く染まること。シャンプー後、乾いたタオルなどで髪の毛の水分を取り、染めたい部分になじませ3分後に洗い流してドライヤーで乾かすだけ。“トリートメント”だけあり美容保湿成分も豊富で、使っていくうちに髪の毛のツヤや指通りも良くなっていく。2018年1月に、『ラボモ スカルプアロマ ヘアカラートリートメント ヌーボー』にリニューアル。同社公式通販サイトやその他ECサイトのほか、テレビ通販、カタログ通販のみでの販売ながら、これまでに累計73万本が販売されている。
きっかけは染毛剤の発売却下
外販商品営業部 部長の藤岡毅純さんによれば、髪の悩みでトップに挙がるのが白髪だという。そこでまず、2013年頃にヘアカラートリートメントの開発を検討した。だが、効果が高いことを理由に染毛剤へと方向転換した。
染毛剤は完成し、役員の承認を得て発売するだけとなった。ところが、染毛剤は発売できなくなった。いったい何が起きたのか? 藤岡さんはこう振り返る。
「役員に染毛剤の発売を諮ったところ、『髪の毛を大事にする、頭皮環境を保護する会社がなぜ、髪の毛や頭皮を傷める染毛剤をつくるんだ。もっと違った方法でお客様の悩みを解決できるはずだ』と指摘を受け、発売に反対されました」
せっかく完成した染毛剤を売ることができない。この一件を経て誕生したのが、『ラボモ スカルプアロマ ヘアカラートリートメント』であった。
「スピード&キープ処方」で染まるヘアカラートリートメントに
ヘアカラートリートメントは、染毛剤より髪や頭皮にダメージを与えない代わりに染まらない。これが常識であったが、営業企画部 次長の矢島和子さんは、「アートネイチャーの名前で発売する以上、染まらなければお客様が納得せずリピートにつながりません」と話す。
アートネイチャー
営業企画部 次長
毛髪診断士
矢島和子さん
染まるヘアカラートリートメントにするべく苦心して編み出したのが、早く染まる上に髪色をある程度の期間キープできる「スピード&キープ処方」であった。三相乳化という神奈川大学が開発した独自技術を生かした三相乳化球状ラメラを配合し、キューティクルに染料を押し込んで密着させる役割を担わせた。同社が把握している限りでは、それまでのヘアカラートリートメントは染まるのに早くても5分だったとのことなので、3分がいかに早いかが実感できるであろう。
髪色の変化。1回目できちんと染まるだけでなく、2回、3回と使っていくうちに自然な仕上がりになり、毎日のシャンプーでも染料が落ちにくい。トリートメント効果により、使うほどに髪のツヤと指通りもアップする
美容保湿成分も全7種類を配合。“スカルプアロマ”の名前の通り、香りにもこだわり、白髪染めという後ろ向きな作業を癒しの時間にすることも目指した。
毛束で検証し安全性に問題なければ、毛髪で色味やツヤを確認。矢島さんやその他研究開発スタッフだけでなく、その家族にも協力してもらい効果を検証した。一度染まると色が落ちるのに2〜3週間近くかかるので、検証は自然と長丁場になった。
また、パッケージは女性がバスルームにずっと置いておいておきたいと思える、ワクワクするものを検討。「チェリーピンク」と呼ばれる独自色を基調とし、タータンチェックをあしらった。