平成最後の年末・年始です。流行語大賞にはノミネートされませんでしたが、「平成最後の」はわりとメディアで使われた言葉じゃないでしょうか。というわけで、今から30年前の昭和63年、平成元年を「DIME」のバックナンバーで振り返ってみます。
その年にヒットした商品やサービス、話題の人物を表彰する「DIMEトレンド大賞」。2018年の大賞は「ZOZOSUIT」、ベストサービス賞は「QRコード決済」、ベストプロダクト賞は「AirPods」や「フルサイズミラーレスカメラ」が受賞しました(その他の受賞はこちら)。
では、今から30年前の1988年(昭和63年)、どんな商品が受賞していたのでしょうか。平成元年1月19日号に掲載された受賞商品を見ていきましょう。
ハイテク高機能部門
この部門の1位は、ナショナルのアイロン「セパレ」でした。アイロンがハイテク!? と思うかもしれませんが、これは日本初のコードレススチームアイロン。左側のケースもかっこよさげなデザインです。
2位はNTTのコードレスホン「パッセ」。電話機が自由になり、コードレスの便利さが浸透してきた時代です。しかし、8万4800円はスマホ並みの高さ!
3位はシャープの電子手帳「PA-8500」。このシリーズ、当時は本当に流行りました。電話帳として使われた方もいるんじゃないでしょうか。左の液晶ディスプレイの下にICカードを入れて、右側のキーをポチポチ押したものです。
4位はミノルタの一眼レフカメラ「α−7700i」。同社(後のコニカミノルタ)がカメラ事業から撤退し、「α」のブランドはソニーに引き継がれています。
5位はゼロックスのハンディコピー機「写楽」。新聞記事のクリッピングなど、情報収集がまだアナログ主流だった時代だからこそのヒット商品です。
アイデア部門/ファンシー部門
生活に密着した商品が多く見られるのが、アイデア部門です。1位は大塚製薬の「ファイブミニ」。ドリンクで食物繊維が摂取できるという斬新さから大ヒットしました。今でも現役の商品です。
2位は資生堂「リンプー」。リンスインシャンプーと言えばわかりますね。商品名よりも、薬師丸ひろ子のCM「ちゃん リン シャン」というフレーズの方が覚えている人が多そうです。当時は、朝シャンが急速に普及した時代でもあります。
ファンシー部門の1位はタミヤの「ミニ四駆」。子どもたちの間でレースがむちゃくちゃに流行りました。今も楽しんでいるファンは多く、タミヤからは30周年スペシャルキットが発売されています。
ニューマーケット部門/ニューリッチ部門
ニューマーケット部門の1位は、ソニー「ビデオウォークマン」。3型液晶テレビと8ミリポータブルビデオを一体化した製品で、重量は1.1kg。録画したテレビ番組を通勤中の電車でチェックするなんて用途が提案されていました。2位のテレビ電話「みえてる」とともに、今はスマホに置き換わっています。
ニューリッチ部門(なにこのネーミング!)1位は、当時一世を風靡した日産「シーマ」。今見ても、“ぬ〜っ”とした高級感のあるデザインだと思います。価格は510万6000円。
2位と3位は生活家電がランクイン。IH方式の炊飯器は、この年に発売されました。冷蔵庫に自動製氷機の機能が搭載されたのはこの時代から。炊飯器の5万5000円は、今の高級炊飯器にくらべると、それほど高くはありません。白物家電は平成を通じて、さらに進化し、高級化してきたと言えるかもしれません。
文/小口覺