沖縄そばと日本そばの違いは?
ところで、沖縄そばと日本そばはどう違うのだろうか? 新田さんに思いつく違いを挙げてもらった。
1.材料の違い
「沖縄そばの原型は400年くらい前に中国から伝来してきた後、沖縄そばとして地元に定着したという説があります。小麦、塩、かんすい(アルカリ塩水溶液)をこねてつくります。材料としてはラーメンに近く、そば粉は入っていません。ただ、沖縄の麺で、唯一そば粉を使っている『月桃(げっとう)そば』を考案し、出している蕎麦専門店があります。これも地元では愛されている沖縄そばのひとつ。南国特有の植物の『月桃』を練りこんだそばで、綺麗な緑がかった色をしています」
2.トッピングの違い
「沖縄そばは三枚肉やソーキ、紅ショウガなどをのせて食べるのが定番。これも日本そばとの大きな違いです。今はトッピングにもいろいろ出てきています。海ぶどうをのせるなど、見た目がおしゃれな沖縄そばもあります」
さまざまな沖縄そば
ところで、沖縄そばと一口に言っても、種類やアレンジ法があるという。
●沖縄そばの一つ「木灰そば」
「私の家庭では、年越しそばに沖縄そばの一つである『木灰(もくはいorもっかい)そば』を好んでよく食べていました。木灰とは、がじゅまるとデイゴを燃やした灰を水と一緒に漬けておくと出てくる上澄みのことで、これを生地に練りこんで作ります。弾力があるのが特徴で、我が家では市場に行くと、この木灰そばを狙って買っていました。値段的には、沖縄そばより少し上がるくらいで、格別に高価な麺というわけではありません」
●沖縄そばをケチャップで炒める「焼きそば」
「沖縄そばの麺をケチャップやソースであえて炒める『焼きそば』もよく食べられます。小学生の給食に出てきたくらいです。家庭でもよく余った麺で作ります。ケチャップの焼きそばの具は、スパム、ランチョンミート、玉ねぎ、ピーマンなどが一般的です」
お雑煮文化はなく伝統的な汁料理を食べる
ちなみに、お雑煮は食べるのかと尋ねると、どうやら沖縄ではお雑煮も食べないらしい。
「沖縄には、もともとお雑煮文化はなく、汁物の中に餅を入れて食べる文化がないようです。お供え物や菓子としてのお餅はあります。沖縄風おしるこに白玉を入れるくらいです。年越しそばについてインタビューした5人に『正月のお雑煮はどうしますか?』と聞いたところ『は?お雑煮?』と反応が返ってきました。お雑煮を食べる正月の習慣はありませんが、お正月の汁物としては、中身汁、ソーキ汁、イナムドゥチの3種類がよく食べられています」
年末年始の定番である年越しそばやお雑煮も、ところ変われば随分、違うようだ。新鮮さを感じるためにも、次は沖縄で年越しをしてみるのもいいかもしれない。
【取材協力】
新田純子さん
沖縄マナーコンサルタント、ヒロコマナーグループ ウイズ 沖縄エリア長、FAST MANNER(ファストマナー)沖縄 代表
沖縄県生まれ。那覇市在住。中学、高校時代を東京で過ごしたのちアメリカに渡りcollegeを卒業。帰国後、講師業として活躍する中、マナーの重要性に気づき、マナーコンサルタント 西出ひろ子の真心マナー®に感銘を受け、直接指導を受けたのち師事。現在、沖縄を拠点に、沖縄の良さやマナーに『真心マナー®』を融合させ、観光客や地元企業・学生たちに役立つマナーを発信中。沖縄料理や沖縄ならではのファッションのマナーをはじめ、インバウンド対応のおもてなし・接客マナーや、英会話、ビジネスマナーや各種テーブルマナー・食べ方のマナー講師・マナーコンサルタントとして世界に向けて活躍中。
https://fastmanner.com/
取材・文/石原亜香利