[オリエンタルシューズ]倭ism 鹿革のカジュアルシューズ
大和の靴づくりの技術と日本の伝統皮革・鹿革が出会って完成した、メイド・イン・ナラのディアスキンスニーカー
大和の靴づくりの原点に立ち返る
奈良県北部に位置する大和郡山。ユネスコの世界文化遺産にも指定される法隆寺が建つ斑鳩にも近いこの地では、戦後まもないころから紳士靴の生産が盛んとなった。いくつもの製靴メーカーが生まれるとともに、農閑期には内職として裁断や縫製を行なう職人も増え、靴づくりの技術が地域全体で継承されてきた。
そんな大和郡山で昭和22(1947)年に創業した靴メーカー「オリエンタルシューズ」も、70年にわたり一貫して紳士靴づくりに専念してきた。今や海外の有名ブランド靴も手がけ、海外生産も行なっている同社だが、その「大和の靴づくり」の原点に立ち返った自社ブランドが『倭イズム』である。
企画を立ち上げた同社営業部の亭良行氏は「裁断・縫製から仕上げまで、すべてを奈良で完結させることで“メイド・イン・ナラ”を徹底して追求したブランドです」と語る。
本底は、軽くて滑りにくい合成底になっており、屈曲性にもこだわったつくりとなる。
鹿革との出会いと試行錯誤の日々
亭氏が着目したのは、同じく奈良県内で古くから生産されてきた伝統工芸、鹿革(ディアスキン)だ。なかでも日本一の鹿革の産地・奈良県宇陀市で創業135年を数える皮革の老舗「藤岡勇吉本店」が手がけた鹿革に魅了された。
「一般的な鹿革に比べて、藤岡さんのところの革は表面のシボ(皺)がなめらかで、しっとり感が強いのが特徴です。これをぜひスニーカーに使いたいと思いました」(亭氏)
ただしもっぱらジャケットや手袋用の素材として使われていた鹿革は、薄く柔らかく、スニーカーのアッパー材として使うのは困難であった。水が浸透しやすい欠点もあるなど、解決しなければならない課題もあった。それでも試行錯誤を繰り返し、革と製法の両面に工夫を重ね、美しく堅牢なレザースニーカーに仕立てることに成功したのだ。
内底にも鹿革を使用。しっとり吸い付くような足あたりが魅力だ。