電力への依存度が高すぎる首都圏の暮らし
「首都圏では高層マンションが増えていますが、電力が止まるとエレベーターがストップし、すぐに身動きがとれなくなってしまいます。そういう住まいの人ほど、非常用バッテリーを常備すべきです。また、戸建て住宅でもオール電化の住まいが増えていて、電気への依存度が高くなっています。どちらの住宅も、停電によって生活に大きな支障が出るのは確実です。停電対策を講じている集合住宅も建ち始めていますが、まだまだ発展途上といったところです」
事実、日常生活の中で電力を使わない場面はかなり少ない。
「だからこそ、電源を確保しておく必要があるのです。もちろん、住まいの家電をすべてカバーする規模の大きいものではなくてもかまいません。家族が数日間過ごせるようなもので十分でしょう」
マンションの上層階はたちまち孤島と化す!?
本当に必要な地域情報が最も得られやすいのはスマホ
防災の専門家の目線だと、水や食料よりも、まずは情報を得ることが大切だという。そのためにはスマホの存在が不可欠だ。
「災害時にテレビを情報源とする人が多いとは思いますが、放送されるのは被災者のためのものではなく、被災していない人向けの〝ショー〟に近い。『どこの避難所に何が支給されるか』は、ほぼわかりません。その点、スマホなら被災者が本当に欲しいピンポイントな情報を得られます」
だが肝心なスマホのバッテリーが切れてしまったら元も子もない。
「避難所では、配給される食料と同様に、コンセントの前にスマホの充電待ちの列ができます。しかも充電できたとしても、わずか数分程度。フル充電は望めません。従って、個人でもバッテリーを持つ必要がありますし、さらには家族でシェアできる大きめなバッテリーの備えも大切なのです」
だが今回、紹介する非常用バッテリーは、日頃から使い慣れておくことも大切だ。
「災害が起きた時、使用方法がわからず説明書を探すようでは、身の安全はままなりません。それこそ暗闇でも使えるくらいまで使いこなせるようになるべきです」
取材・文/今 雄飛