ふるさと納税を行ったら、確定申告を行うことで自己負担額2,000円を除いた全額が、所得税及び住民税の控除の対象となる。しかし確定申告が不要になる特例「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は一般的によく知られるようになった。このワンストップ特例制度の素朴な疑問や、その他のふるさと納税における思わぬ損するケースについて税理士に聞いた。
ワンストップ特例制度の範囲をうっかり超えてしまったらどうなる?
確定申告の給与所得者は「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が適用される。このワンストップ特例制度では、納税先が5件(団体)と限られている。うっかり6件(団体)に納税してしまったらどうなるのか。税理士の吉田信康さんは次のように話す。
「ふるさと納税ワンストップ特例は、ふるさと納税先の自治体が5団体以内の場合、確定申告が不要になる制度です。ですから納税先の自治体を6団体以上となってしまった場合は、この特例制度は使えず、確定申告をする必要があります。その場合の確定申告では、ふるさと納税を行ったすべての金額を寄付金控除の計算に含め、申告する必要があります」
ふるさと納税のキャンセルはできるの?
もし5団体のところ、6団体に寄付してしまったと分かった時点で、キャンセルできないものだろうか。
「ふるさと納税サイトで申し込んだ後に、うっかりオーバーしてしまったことにと気づいてすぐに取り消ししたい場合は、申し込んだそのサイトの運営者に尋ねてみてください。一般的には、申し込みをして決済されていなければキャンセルは可能のようですが、決済されてしまった場合には、むずかしいかもしれません。その場合は自治体に直接キャンセルの依頼をするしかないようです。サイトを利用しないで自治体に直接寄付した場合も同様に、直接キャンセルを依頼することになります」
自分で確定申告をする必要が出てきたら?
もし特例の条件に合わず、自分で確定申告をしなければならない場合、どんな書類や何をする必要があるだろうか。
「まず、各自治体から送られてきた『寄付金受領証明書』をご準備ください。またよく間違いやすいのですが、ワンストップ特例の際に、一緒に寄付金受領証明書まで送ってしまう方がいます。もしこの証明書を紛失している場合には、自治体にお問い合わせください。証明書は税務署に提出することになるため大事な書類です。
またサラリーマンの方なら、会社から受領した源泉徴収票が必要です。またマイナンバーカードを持っている場合には、その写しの提示、もしくは写しの提出が必要です。もし持っていない場合には、通知カードかマイナンバーの記載のある住民票が必要になる上、さらに身元確認書類として、運転免許証等も必要になります」
吉田さんによると、これらの書類の提出が不要になる方法もあるという。
「もし自宅からe-Tax(国税電子申告・納税システム)で確定申告する場合は、これら書類の提出は不要になります。2019年からはスマートフォンからでも申告できるようになりますから、この制度を積極的に利用してください。ただ、事前に本人確認書類を持って近くの税務署に行ってIDとパスワードを発行してもらっておく必要はあります。税務署は日本全国どこでもかまいません」