専門外だからこそ迅速な決断と実行が重要
スーツ型作業着『ワークウェアスーツ』が、現在も入荷待ちの状態だ。2018年4月の一般発売以来、毎月500着を販売し、採用企業が相次ぐ。手がけるのはアパレルとは無縁の水道工事会社。当初は市販予定がなく、自社のユニホームとして開発したものだった。
『ワークウェアスーツ』を導入すると、取引先や同業他社から「うちも欲しい」という声が殺到した。思いも寄らぬヒットの手応えをつかんだ同社は、導入から半年たらずで一般販売を決断する。
「売り切る自信は半分くらいでした。アパレル関係者から〝売れない〟と断言されましたが、売れなくても自社の備品にできるので(笑)。商品の魅力さえ伝われば何とかなる、と『ワークウェアスーツ』のコンセプト動画を作り始めました」(中村有沙さん)
動画はネット上で炎上したが、知名度はアップ。顧客の声に応え、女性用をすぐに開発し男女兼用が当たり前という作業服の常識を打ち破る。口コミも功を奏した。
「機能性だけでなく、身だしなみが改善され、自社の企業イメージのアップにつながったと、ご評価いただきました。介護やITなど想定外の業界からの引き合いも増え、上半期の売り上げ目標の500%以上を達成しています」(同)
快進撃の理由は、社員の身だしなみまで意識したサービス精神。そして何より、怖いもの知らずの実行力にあるのかもしれない。
法人採用の依頼が続々!
ゴミ回収会社や高級レジデンス会社、介護施設、IT企業など、『ワークウェアスーツ』を採用する企業が急増している。
生地探しに奔走
機能素材を100種類以上も取り寄せて検証。最も理想に近い機能性を備えたスポーツウェア用の素材を採用した。
取材・文/金山 靖