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イエスのアルバム「危機」のマト1、ベストはUS盤か?それともUK盤か?

2018.12.08

eBayで見つけたプロモーション盤

 さらにその後、ebayでPR工場生産の『危機』プロモーション盤(以下、プロモ盤)を見つけてしまう。プロモ盤とは、当時セールスに最も影響力があったラジオ局でオンエアしてもらうために、レコード会社が無料で配ったサンプル盤のことだ。配る日は、もちろん発売日より前。よって同じマト1でも、プロモ盤はレコード店に並ぶマト1より先の生産、より音がいいとされる。これを買わないわけにはいかず、約1万円で落札した。同時期、PRのプロモ盤が中古レコード店にて約2万円で売られていたので、お買い得だった。

USプロモ盤。

プロモ盤はホワイトラベルであることが多い。

当初はDJではなくDFと読んでいて、妙なマトもあるものだと思っていた。数字やアルファベットは日本人にはなじみのない字体が使われていることもあり、なかなか読み取りづらい。

PR工場盤に刻まれたマトリクスは、市販盤(こんな呼び方、あるのかな?)がA、プロモ盤はDJだ。Aは紛う事なきマト1、DJはプロモーション用のレコード=DJ用という意味だろう(『危機』の前作『こわれもの』のPR工場市販盤とプロモ盤も持っているが、こちらはどちらもマトリクスはAだ)。

プロモ盤を手に入れたのをきっかけに、USのSP、同PR、同PRのプロモ、『危機』聴き比べをした。レコードの聴き比べでは、音質を5段階で評価することにしている。チリやノイズの大小は気にせず、音質(=録音)そのものを評価する。結果は、SP→4、PR→5、PRプロモ→4.5で、2枚のPRとSPの差は明瞭だった(とはいえ、SPも相当いい)。しかしPRの2枚は、実は5対4.8くらいの微妙な差で、別な機会に聴くと優劣が逆転してもおかしくない、気分的な差のようにも思った。

そこでその1ヶ月後に再び聴き比べた。結果は試聴順に、PRプロモ→4.5、PR→5、SP→4と全く同じ。つまり僕の耳には、プロモ盤より市販盤のほうが優れて聴こえる。この時UKマト1も聴いてみたが、4.5だ。爆音度ではSPも含めたUS盤が明らかに勝り、僕は迷わずUSに軍配を上げる。ただしUK盤の音には奥行きがあり、その優劣はツェッペリン同様に好み次第だろう。

ここまでの聴き比べでは、僕の眼中(耳中?)に日本盤というものがなかった。では高校生の時に聴いた日本盤は、どんな音だったのだろう(発売直後に買ったので、日本盤としてはマト1かも)? こんな興味が湧き日本盤を探したら、中古店で帯付きAコンディションを見つけた(日本盤はBコンディションが多く、Aは珍しい)。ただしマトは不明だ(日本盤ではプロモ盤とか初回限定をうたう帯付きでもない限り、マト1と判断するのは難しいようだ)。聴いてみると爆音は爆音ながら全体に鈍く、USやUKのような煌めきがない。残念ながら、評価は3だ。

日本盤。

12月15日にスペシャルイベント開催

「危機」聴き比べは一昨年、僕のロックとオーディオの師匠たる岩田由記夫さんと一緒に、2ヶ月に1回開催しているイベント「レコードの達人」で行なったことがある。今月は来日を記念して再びイエスをテーマに開催するが、また「危機」というのもいかがかと思い、『こわれもの』収録の名曲「ラウンドアバウト」、そして『90125』からの全米NO.1ヒット「ロンリー・ハート」を聴き比べる。「ラウンドアバウト」はUKマト1、USのPR、同プロモ、そして日本盤を、「ロンリー・ハート」はUSオリジナルと日本盤のサンプル盤だ。さらに発売50周年記念に新ステレオ・ミックスされたビートルズの『ホワイトアルバム』をUKマト1と聴き比べる。

『こわれもの』。

日時は12月15日13時半~、会場は東京・大岡山のライブハウス「グッドストック トーキョー」。ライブハウスならではの大音量再生、しかも大型スピーカーは60~70年代の名器アルテックA4,アナログプレーヤーはLINNの最上級機「Klimax LP12」と、オーディオも超ド級だ。僕が何を書いても、“百読は一聴にしかず”。『危機』聴き比べにご興味をもたれた方は、是非ご来場を。

文/斎藤好一(元DIME編集長)

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