A:バイクにはありません。スクーターにはあります
バイクのエンジンは、想像以上に騒々しいもの。期せずしてダジャレになってしまいましたが、紛れもない事実です。エンジンを止めると思いがけないほどの静粛に包まれ、やがて周囲の音が耳に入ってきて、景色に溶け込めるような気がします。
というわけで筆者の場合、アイドリングストップ機構が搭載されていないバイクに乗る際も、「静かで穏やかな信号待ち/踏切待ち」を主目的として、待ち時間の長短や交通状況に応じ、バイクの状態に留意しながら、アイドリングを止めることがあったり、なかったりします。……なんだこのもったいぶった曖昧な言い回しは!
アイドリングストップするのは、実はいろいろドキドキするんです。だからでしょうか、アイドリングストップ機構が備えられたバイクは登場しません。しかし、スクーターにはあります。
四輪車では、4代目クラウン(1971〜1974年)に初めてオプション採用されたアイドリングストップ。
二輪車への搭載はそれから遅れることおよそ25年、1999年発売のジョルノ クレア デラックス(ホンダ)が最初です。このスクーターは、原付初の4ストロークエンジン搭載車であり、量産二輪車初のアイドリングストップ搭載車でもありました。
ホンダはスクーターへのアイドリングストップ機構導入に積極的です。2018年11月現在、PCX、リード125、ディオ110、ダンク、ジョルノ、タクトに搭載。ヤマハはビーノとジョグに搭載していますが、この2モデルは協業によりホンダ製エンジンを使用していますから、アイドリングストップを搭載している二輪車は事実上ホンダのスクーターのみと言っていいでしょう。自動車が軒並みアイドリングストップを搭載しているこのご時世、バイクへのアイドリングストップ機構搭載はほぼ諦められている状態です。
PCXのアイドリングストップ機構を試したことがありますが、素晴らしい出来栄えに感動しました。信号待ちなどで停車すると数秒で自動的にエンジンが停止。スロットルレバーを回せばほぼ瞬時に再始動するのですが、キュルキュル……という一般的なセルスターターの作動音はしません。何事もなかったかのように滑らかに再出発することが可能です。無音状態からのスムーズなスタートは、電気モーター車のような感覚ですね。ACジェネレーターというホンダの独自技術によるものですが、キュルキュル言わないだけでこんなに安心なのかと思ったものです。