さらに、ハンドル角をギュッと絞ることでヒジでタンクを挟むようなコンパクトなライディングフォームを実現しています。空気抵抗の減少に加え、バイクとの一体感も生み出すのです。
いずれにしても、セパハンは本来、サーキットでこそ有効な機能部品なのですが、フロントが低いポジションは、ストイックにスピードを追求する姿勢の象徴でもあります。それが「カッコよさ」につながっている、というわけです。
そしてカッコよいモノの宿命として、デメリットもあります。ハンドルを切った時にタンクに当たりやすいこと、ハンドル操作が重くなること、そして前傾がキツくて体がしんどいこと、などです。それらをヤセ我慢してでもカッコよさを求めるのは、バイク乗りの性なのかもしれません。
なお、カワサキ・ニンジャ250やヤマハ・YZF-R25など最近人気のカジュアルスポーツモデルの多くは、セパハンでありながらハンドル位置が高いアップライトなポジションになっています。スポーティーなイメージを楽しみたい。でも、公道走行での快適性は譲りたくない……。ストイックに偏らず、ヤセ我慢をしないという姿勢は、いかにも現代的です。
文/高橋 剛