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創業120周年を迎える龍名館がお茶をテーマにした「ホテル1899東京」を開業

2018.12.04

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

約100年ぶりに用地を取得して建設した新ホテル

 1899年(明治32年)に創業した「龍名館」は木造建築の旅館で、伊東深水や川村曼舟ら画家や作家といった多くの文化人に愛され、幸田文の小説「流れる」で帝国ホテルと並び在京の名店と称された。画家が宿泊代の代わりに絵画を置いていったという逸話も残されている。近年はホテル業に転換、2009年には東京・八重洲に「ホテル龍名館東京」を開業。2014年には木造旅館のあった創業地・御茶ノ水の「旅館龍名館本店」を改修、に全9室がスイートルームの「ホテル龍名館お茶の水本店」として開業した。

 龍名館が約100年ぶりに用地を取得して建設した新ホテルが、12月1日に開業する「ホテル1899 東京」。御成門駅徒歩約5分、新橋駅徒歩約10分、羽田空港からタクシーで約20分の立地で、東京、銀座、六本木といった人気エリアから近いこともあり、観光目的が6割、うち訪日観光客が6~7割、年間約2万組を見込んでいる。

1階「DELI&BAR 1899東京」/2階レセプション

「ホテル1899 東京」のコンセプトは「現代的に解釈された茶屋体験」。ブランディング、デザイン、インテリアは、建築やインテリアコンサルティング、ブランディング専門のスタッフを擁する総合デザイン事務所のゲンスラーが手掛けた。“ゆるやかな時間”が大きなブランドコンセプトとなっており、随所に茶屋のイメージを取り入れ、エントランスは茶屋的な雰囲気を出すのれんを配置。

 1階の「DELI&BAR(デリ&バル)1899東京」は縁側をキーワードにしている。窓はイスターカーテン(透明シャッター)でフルオープンにもなり、外気を感じながらゆっくりとくつろげる。デリのショーケース上には茶箱をディスプレイし、茶屋の和傘や茶筒の銅のマテリアルをイメージしたペンダントライトを配している。

 12月1日の開業時は朝食営業のみだが、12月20日からディナー、2019年1月16日からランチ、カフェタイムの営業も開始する。抹茶、ほうじ茶を使った“お茶料理”の惣菜を軸に、体に優しいメニュー、夜限定のおつまみなどを揃えており、料理はすべてテイクアウト可能なデリメニューとして提供するので、ビジターの利用も可能。

 宿泊者には朝食の無料サービスがあり、オーダー式ビュッフェで好きなものを選び、スタッフが盛りつけて提供する。下記の上の画像が、焼き鮭、抹茶ポテトサラダ、ほうれん草の胡麻和え、ミル挽き煎茶の白和え、ひじき煮、茶粥、柴漬け、生姜入りきのこと寒天のスープ。下の画像が、お茶ソーセージと彩り野菜のグリル、かぼちゃとカッテージチーズのスイーツサラダ、彩り野菜の碾茶(てんちゃ)オイルマリネ、抹茶ポテトサラダ、スクランブルエッグ、ソーセージ、ベーコン、パン(抹茶、竹炭)、抹茶豆乳スープ、ミニサラダ 抹茶ドレッシングがけ。双方にあるお茶は、目覚めの一杯(六煎茶)。

 2階のレセプションは庵をデザインのキーワードにしている。中央のレセプションは日本茶、抹茶を楽しめる茶釜を備えたドリンクカウンターと一体化した、開放感のあるカウンタースペースが特徴で、銅のシリンダー、白木などでお茶の世界観を表現している。カウンター奥の丸窓には緑を配置して、季節ごとに移ろいを感じる仕掛けに。オリジナル製品を扱った物販では茶葉も扱っておりテイスティングもできる。

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