ビジネスの場における契約書やクレジットカードのサイン、ホテルの宿泊者カードまで、外出時に筆記具を使う機会は意外と多い。そんなとき、相手から渡されるノーブランドのボールペンで名前を書くケースがほとんどではないだろうか?
でも、そんな場でサッと内ポケットから愛用の万年筆を出せれば、これぞまさしくできる大人の嗜みというもの。そんな素敵な大人にあこがれる人に向けて、ピッタリな万年筆とインクを紹介する。
ドイツが生んだ機能的な万年筆、ペリカンのおすすめモデル
現在、ペリカンはスイスに本社を置いているが、起源は1838年にドイツのハノーヴァーで創業したインク工場だ。1929年には万年筆の製造を開始し、当時としては画期的だったピストン式インク吸入システムが大人気となった。
代表的なモデルは軸に縞模様のあるスーベレーン(Souverän)で、M300からM1000まで、サイズの違う7モデルをラインナップする。日本で特に人気が高いのは、重さと重心の良さに定評のあるM400だ。価格も実売で3万~4万円と手に入れやすく、所有する喜びも味わえる万年筆といえる。
同じくドイツで生まれたモンブラン、万年筆のおすすめ大本命
1906年にハンブルグで創業したモンブランの代表モデルと言えば、マイスターシュテュック(Meisterstück)。特徴ある軸の太いモデルを愛用した作家は多く、日本では三島由紀夫や江戸川乱歩、海外では星の王子さまを書いたサン=テグジュペリや、フランスを代表する小説家バルザック(両者を含む愛用作家のモデルが、作家シリーズとして発売されている)などが有名だ。
黒い樹脂製のボディに、金もしくはプラチナの重厚なトリム。ペン先に刻まれた4810の文字(モンブランの標高)は、文字を書き進める喜びをこの上なく高めてくれる。値が張るモデルも多いが、一度は使ってみたい万年筆だ。
日本を代表する万年筆メーカー、パイロットのおすすめは?
1918年に創業、100年の歴史を持つ日本の筆記具メーカーがパイロット。老舗メーカーの名に恥じることなく数多くの万年筆をラインナップしていて、初心者用万年筆のカクノから蒔絵をデザインした高級モデルまで、用途や練度に合わせて自由自在に選べる。
もし一本、日本の筆記具メーカーらしいモデルを選ぶとすればエラボー(Elabo)をおすすめする。このシリーズは全国万年筆専門店会と共同開発されたモデルで、柔らかなペン先を特徴としている。万年筆でありながら、字幅の強弱や「とめ」「はね」「はらい」を美しく表現できる。価格も実売では2万円弱。書くことが楽しくなる万年筆だ。