5Gで楽天の勝算はあるか
石野氏:最近、楽天の報道陣へのガードが硬いんですよね。会見はドタキャンしちゃうし、じゃあ取材させてくださいってことで行ったら、断られてしまうし。
法林氏:サービスイン1年前になっても契約書を出せない会社に期待していいのかね。それをお国の官房長官が、楽天が参入するから4割下がりますなんて発言はアリなの? それはダメでしょう。現時点で何のロードマップも出していない、そんなところを当てにして。
石川氏:この間の総務省の5Gのヒアリングで、楽天は4Gの話を一切しないにも関わらず5Gをやると言っていて、は? みたいな。
石野氏:あれ、一応ソフトウェアアップグレードでという話だったんですけど、楽天の持っている周波数、5Gで使うって誰も言っていないよねっていう。
石川氏:そうだし、楽天はネットワークを安く作りますって話をしているけれど、あれって、今、4Gのタイミングでの話でしょ。4Gのシステムが世界中で使われ、売られているので、機材も安くなっているし、新しい仮想化の技術もあるので安くなるというのは理にかなっている。でも、5Gなんて世界で導入するところが、まだ数限られているにも関わらず、そこに対してレディのものを入れようと思ったら、過去の通信業界的にいうと、コスト的に高いはずなんですよね。あの辺の話が矛盾している気がする。
石野氏:基地局にはハードウェアが必要なので。
石川氏:基地局は変えないといけない。
石野氏:MIMOとかに対応したり。
法林氏:イー・モバイルのときに証明されているけど、後から入る業者の方が新しい機材が使えて、新しい技術が使われているので、効率も良くて安くできる。ただそれは、その周波数で使える機材だけが安い話でしかなくて、基地局は別だし、楽天は1つしか周波数がないのに、5つも6つも周波数が割り当てられているところと対等に戦えるはずがない。
石野氏:1.7GHz帯なんて、5Gで使うのはまだ先の話ですよね。
法林氏:ずっと先。
石川氏:この間のヒアリングは、新しい周波数を割り当ててもらうためのヒアリングなので、その割り当てが今年中か来年の春か、どこかである。それで割り当てをもらって、また設備を作っていくことになる。
石野氏:その周波数がLTE対応の周波数じゃなければ、結局ゼロベースで作らなくてはいけないわけですよね。話がめちゃくちゃですね。
房野氏:周波数を割り当てられたのに使わないという場合、ペナルティとかあるんですか?
石川氏:ない。
房野氏:もらったもの勝ちですか?
石川氏:計画通りに事業をやらなくてはいけないんだけど、その辺はあやふやだと思ったな。
石野氏:確かにKDDIとか、700MHz帯とか、1.5GHz帯とか、ちょいちょいありますよね。でも、最低限はクリアしているんだと思います。というくらい水準が低い。人口カバー率で何%とかでいいので、ヤバイと思ったら区役所の前とかに基地局を置けばいい(笑)
石川氏:楽天がサービスインする来年10月が楽しみだな、しばらく話題には困らなそう(笑)
……続く!
次回は、ドコモの料金値下げについて話合います。ご期待ください。
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。