ストレスフリーの買い物体験
日本のコンビニで買い物をするときに最もストレスを感じるのは、会計時。特にオフィスエリアにあるコンビニにお昼時に行くと、店内は多くの人でごった返しており、お茶1つ買うだけでも時間を要してしまいます。
それと比べると、レジがないAmazon GOでは、このストレスを感じることがないため、非常に快適な買い物をすることができました。
また、今回サンフランシスコ店を訪れた際、商品を手にとっては棚に戻すという作業を何度も繰り返しましたが、店から持ち出した商品だけがきちんと決済されていました。
類似サービスとして中国・上海で、無人コンビニ「Well GO」や「百鮮GO」で買い物体験をしたことがありますが、こちらは購入商品を正確にセンサリングできていなかったり、操作が難しいセルフレジブースがあったりしたため、Amazon Goのサービスは非常にスムーズで正確だと感じました。
Amazon GOが目指すものとは?
Amazon GOはあくまで「レジがないコンビニ」であり「無人コンビニ」ではありません。実際に店内では、商品補充スタッフ、ゲートに立つ監視員そして厨房スタッフなど、多くの従業員が働いています。
Amazon GOが目指しているのは人件費を削減することではなく、「ユーザーに最適なサービスや快適な買い物体験を提供し、売上を伸ばすこと」であると私は考えます。
その証拠に、Amazon GOでは購入商品だけでなく、店舗滞在時間、更にはユーザーが店内で取った行動に至るまで、天井や陳列棚に備え付けられているセンサーで全てのデータを記録しています。
どの陳列棚の前で滞在時間が長かったか?どの商品をどのタイミングで棚に戻したのか?
これらのデータをAmazonは全て把握しています。
データを元にユーザーの行動を分析し、ユーザーにより快適な買い物体験を提供すると共に、購入までのボトルネックを改善し、より多くの商品を購入させる仕組みを構築しようとしていることは明らかです。
Amazon GOは日本のコンビニにとって脅威になるか?
今のところAmazon GOが日本に進出する予定は公表されていませんが、もし進出した場合、日本のコンビニにとって脅威となるでしょうか?個人的には、出店エリアによっては強力なライバルになる可能性があると考えます。
Amazon GO サンフランシスコ店の出店エリア、営業時間(平日限定)、商品ラインナップ、イートインスペースの存在等から、ビジネスマンにカフェやランチスポットとして利用してもらうことをターゲットにしていると推測できます。
そうなると重要になってくる商品は食品で、Amazon GOで取り揃えられている食品を見ると、オーガニックフードを使用したオリジナルブランドのヘルシーな総菜や弁当が多く、健康意識が高い層からの支持を得そうです。
例えば、東京・丸の内のナチュラルローソンの近くなどにAmazon GOが出店された場合、レジに並ぶ必要がない上に、クオリティの高い食品を手に入れられるとなれば、多くのお客が来店するのではないでしょうか。
しかし、センサーや行動解析システムの導入が必要な同店舗は、設立にあたって莫大な費用が必要です。
それに加え、現在はテクノロジーリテラシーが高いビジネスマンが多いエリアにのみ店舗を出店しており、物珍しさから多くの客が来店していますが、もし日本に店舗を展開していった際、ビジネスとして成立するかは未知数です。
今後「Amazon GO」がどのようなエリアに出店していくのか?入手したデータを元にどのようにユーザーエクスペリエンスを改善していくのか?
目が離せません。
文/小松佐保(Foody Style代表 https://foodystyle.com/)