BESV(ベスビー)は台湾の電動自転車(e-bike)専門ブランド。そもそもの母体が自転車関係ではなくIT関係ということもあり、これまでの伝統や常識にとらわれずに自転車を作るのが強みとなっている。同ブランドの『PS1 ADV』などはまさにその強みから生み出されたもの。自転車文化が成熟した欧米で人気が高まりつつあるというのも、とてもe-bikeとは思えない洗練されたデザインの高さによるものなのだろう。ここで紹介する『BESV JR1』もBESVらしいデザインが特徴となっているバイクだ。
e-bikeのデザインの良し悪しを決めるのは、「バッテリーをどう処理するか」という部分に集約されるといってもいいだろう。最近の物はコンパクトになってきてはいるが、それでもパーツとして大きいバッテリーを目立たなくするのがポイントになってくる。
BESVはもともとパソコンなどのバッテリーを製作している企業が母体になっているだけに、フレームのデザインを崩さないバッテリーを作成。ロードバイクのスピード感のある細身のスタイルを損なわずに違和感なくインストールしている。
こんなコンパクトサイズでありながら、『BESV JR1』のバッテリー容量は36V/7.0Ahで、アシスト可能な距離は最大138km。近場のライドだけではなく、ロングライドも十分にこなせる容量がある。車両の重量も15.7㎏(XSサイズ)と、e-bikeとしては軽量に抑えられているので、テストライド中、取り回すにあたって重いと感じることはなかった。
そのバッテリーからのパワーを推進力に変えるのは、後輪のハブモーター。モーターは一般的にフロントハブに取り付けたフロントドライブ、ペダルの軸に取り付けたミドルドライブ、そしてリアドライブの3種類があるが、『BESV JR1』はミドルドライブを採用している。
最近はミドルドライブも増えているが、全体的なデザインが”重め”の印象になることもある。しかしこれは、ハブに取り付けることで、ロードバイクのすっきりとしたデザインを損なっていない。
実際に乗ってみると、かなり自然なアシスト力を体感できた。e-bikeの中にはゼロ発進時に「明らかにアシスト」と感じる加速感のものもあるが、これはかなりスムーズに発進して自然に加速していく。本来的にチェーンによって後輪を回転させて進むのが自転車だが、その後輪部分にモーターを取り付けていることも大きな要因なのだろう。
たとえばフロントドライブだと、前から引っ張られる感じがするが、本来の自転車の動力が発生する部分にアシスト力が加わっているので、違和感のない自然な走り心地さが体感できた。
しかし、自然な乗り味といっても、アシストが弱いわけではない。スーッと25km/h以上の速度は出てしまうし、上りに差し掛かれば力強く走ってくれる。「自分が速くなったのかな」とノセられてしまうような心地良さ。
日本のe-bikeのルールでは時速24km/h以上は、アシスト力がカットされてしまうが、その後も軽量で剛性の高いアルミフレームがしっかりとパワーを受け止めて加速していく。まさにロードバイクの楽しいところだけを抽出して楽しめてしまうのだ。