様々なブランドの電子マネーが流通している。
あまりにそのブランドが多過ぎて、もはや戦国時代のような状態にすらなっている。しかしこれは世界共通の現象で、電子マネー分野には大手企業からスタートアップまで続々参入しているのがその原因だ。だからApple Payのような、各電子マネーに対応した電子ウォレットが大きな意味を持つようになる。
また、今後は国内のみならず海外で広く使用できる電子マネーも求められるだろう。
その点から見て高い汎用性を持つのが、auの提供する『au Wallet』である。
バリ島でau Walletを試してみる
今までに何度も入国しているインドネシアだが、ここ1、2年で電子マネーが一気に普及した。スマートフォンがあれば、誰でも電子決済ができるようになったのだ。
この国の小銭不足は社会問題になっていて、たとえば1万6500ルピアの買い物に5万ルピア札を出すと、嫌な顔をされることがある。それに対応できる釣り銭がないからだ。タクシーでは尚更で、そういう場合は利用客が予め小銭を用意するしかない。
しかし電子マネーがあれば、小銭が不足するなどということは絶対に起きない。
そこで今回は、バリ島でau Walletがどこまで使えるかどうかを検証してみる。
au Walletはマスターカードブランドが付与されている。従って、これは電子マネーでありながらデビットカードのような使い方もできる。言い換えれば、海外での使用が可能というわけだ。
SuicaにしろWaonにしろ、電子マネーと名のつくもののほとんどは国内でしか使えない。いずれ海外のサービスとの連携も実現するのだろうが、今のところそれを達成している電子マネーはあまりない。au Walletは、まさに例外的とも言えるサービスなのだ。
意外な結果だが……
では、実際にバリ島でau Walletを使ってみよう。
今回はいくつかの現地業者及び店舗に協力していただいた。まずはングラライ国際空港内にカウンターを設けているハイヤー大手『Golden Bird』。
サヌール地区にある宿泊施設『Diwangkara Beach Hotel』。
そして『肉のハナマサ』ドルパディ通り店。
このうち、肉のハナマサがインドネシアに進出しているという事実を知っている人はあまりいないだろう。
さて、ここで先に結論だけを書いてしまえば以下の通りである。
Golden Bird-失敗
Diwangkara Beach Hotel-失敗
ハナマサ-成功
何だ、大したことないじゃないか……と思えてしまう結果である。だが、ここでは敢えて「決済可、不可」ではなく「成功、失敗」という表現を使った。
どういうことかというと、Golden BirdとDiwangkara Hotelは決済時に暗証番号を、ハナマサはサインを求められたという違いがあるのだ。この暗証番号というのが、今回の記事のミソかもしれない。
日本での店頭クレカ決済は多くがサイン記入で、しかも1万円以下の決済の場合はサインすら求められないことが多い。しかしインドネシアでは、その辺が極めて厳格である。少額の買い物でも暗証番号かサインを要求される。
ところが、au Walletはこの暗証番号(数字4桁)を自分で設定しないといけない。それをしなければ使用できないというわけではないが、だからこそ暗証番号を設定しないままでいるau Walletユーザーは少なくないのではないか。筆者もそのひとりだ。
暗証番号を設定さえすれば、上記の問題は解決する。au Walletの公式サイトからログインすれば、この設定はいつでもできる。
インドネシアでは大抵の場合、暗証番号入力かサインのどちらかを選ぶ。だがDiwangkara Hotelの場合は暗証番号のみの対応だった。
一方、現地でスマホを買う時は優先的にサインを求められる場合がある。これはインドネシアの中央政府がモバイル端末購入者の身元登録を実行するようになったからで、外国人も対象内である。
その理由は、スマホがテロリストに利用されることを防ぐため。だからクレジットカードの裏側に書いてあるサインとレシートに書かせたそれが本当に一致するのかを、店員が注意深くチェックするようになったのだ。ここで下手に崩し文字を書いてしまったら、書き直しを要求されることもある。