このいずれも操作するためには、ハンドルの付け根となるステアリングコラムの下側(左寄り)にあるレバー(写真の赤まる内)でロックを解除する必要がある。高級車などでは、電動で調整できる車種もあるが、その形状こそ違うがレバータイプが一般的だ。
このレバーでロックを解除したら、両手でハンドルを握り上下、または前後(遠近)に動かすことによって、ドライビングポジションはもちろんのことメーターなどの視認性がよくなるよう調整できるのだ。
ただし、調整が完了したら最後にレバーでのロックを忘れずに。実は私も以前にやらかしたことがあるのだが、このロックをするのを忘れてもクルマを動かすことができてしまう。ただ、やはりステアリングがグラグラと不安定になり大変危険。
またロックがあまい場合も、走行中の振動などで外れてしまうことがあるので、安全な場所にクルマを停止させてから、しっかりとレバーを奥までロックさせることが重要だ。
なお、軽自動車やコンパクトカーなどでコスト優先のために、チルト機構もテレスコピック機能もついていないこともある。さらに、スポーツカーなどでは、軽量化や剛性を確保するために、位置を調整できない固定式の場合もある。
そんなときに、どうしても調整したいのであれば、ハンドルのつけ根にあるネジ部分にスペーサー(ワッシャー)をかまして、前後(遠近)を調整するという方法もあるので、ディーラーなどで相談してみるといい。
ちなみに私は、クルマの試乗会の際には、必ずと言っていいくらい時間をかけて、ハンドルの位置調整まで行なう。そうすることによって安全で快適な運転はもちろんのこと、そのクルマの挙動や特性などの些細な違いを感じ取れるからだ。
もちろん、日ごろから乗っているクルマであっても、適正なドライビングポジションであれば、路面の変化やタイヤの状態なども把握しやすいので、ぜひ実践してみて欲しい。
文・撮影/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)
クルマは走らせてナンボ!をモットーに、どんな仕事にも愛車で駆けまわる日々。クルマのほかにもグルメやファッション情報、また小学館Men’s Beautyでは、男性に向けた美容・健康法、化粧品情報なども発信。