出張中、環境が変わることでなんとなく口臭が気になることがある。ただの娯楽の旅行であればそれほど気にする必要はないが、出張中、営業マンなどは特に商談時は気になるものだ。そこで今回は、「出張中」にできる口臭対策を、日本口臭学会常任理事で、医療法人ほんだ歯科院長の本田俊一先生に教えてもらった。
出張時でもできる口臭対策
本田先生は、出張時でもできる口臭対策について、消臭アイテム使用、食事のとり方、歯磨きの3つの観点で教えてくれた。
1.消臭アイテム使用
「まず、食後の対応から。歯と頬の隙間や舌の上には小さな微粒子となった食べかすがたくさんありますので、ガムを噛む、水を使ったお口直しの方法が有効です。水以外の飲料を飲んだ後についてもこの方法が効果的です。飲料の中でも特に乳製品は舌の上に絡みやすいため、放置しておくと臭いの原因になります」
●ガム法
「自らの機能を利用し消臭を行うアイテムとして、ガムを用いた方法があります。まず、ガムを味が無くなるまで噛みます。次に味が無くなったガムを、舌を使って丸めます。この丸めたガムを舌の上に置き、意識しながら転がしてください。そうすると口の中に異物があるため、唾液が出はじめます。会話をするときは、上の一番奥の歯と頬の間にガムを挟み込みます。ここには耳下腺という唾液腺の出口があり、そこに物が挟まっていると、唾液は出続けます。しかも、奥歯と頬の間に挟まっているので、くしゃみをしてもガムが飛び出ることはなく、その状態で飲料を飲むことも可能です。この方法は、ガムを口に含んでいても、周囲に気づかれることがないというメリットがあります。ビジネスマンの場合、仕事をしながらガムを噛むことはむずかしいかもしれませんが、これなら仕事をしながらでも無臭をキープできる簡単な方法です」
●水を使ったお口直し
「ガムが無い場合、水を使ったお口直しをしましょう。水を口に含み、歯茎と頬の隙間にある食べかすを取り出すように、さらに舌を上下左右に動かしてブクブクし、水を飲み込みます。味や臭いがなくなるまで、これを数回繰り返し行うと良いでしょう」
2.食事のとり方
「空腹すぎると空腹時口臭が起こります。空腹時は血糖値が下がり、脂肪を分解し、ブドウ糖を作ろうとするのですが、その過程で、中間生成物として、ケトン体というものを作ります。その結果、血中にケトン体が溢れ出し、アセトン臭という甘酸っぱい臭いが発生します。特にビジネスマンは、朝食を軽く済ますという人や朝食を食べない人が多いため、仕事中に空腹時口臭が起こりやすくなっています。出張時も朝食はできるかぎりしっかり食べていただき、あまり過剰な空腹状態を作らないことが重要です。空腹を感じないうちに、おやつを食べるだけでも良いでしょう」
3.歯磨き
「歯周病やむし歯などの原因となる口腔内細菌は就寝時間に増えるため、菌が膨大となった起床直後の歯磨きが、非常に重要になります。口臭だけでなく、身体の健康のためにも、朝起きてすぐの唾液を飲み込まないためには、歯磨きの前に飲食しないように気をつけなければなりません。また、製品によっても異なりますが、マウスウォッシュを何回も使用すると、せっかくの唾液を吐き出してしまい乾燥の原因にもなるので、適度な使用が望ましいと思います」