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【意外と知らないバイクのこと】暑くても革ツナギを着るのはなぜ?

2018.11.13

公道でも革ツナギは有効だけれど……

革ツナギの性能は、公道でももちろん有効です。ハデなデザインで注目を集めてしまいがちなことや、トイレ時の不便さを差し引いても、余りあるほどの運動性と安全性を備えています。ライディングのこと「だけ」を考えれば、革ツナギは間違いなくバイク乗りの正装なのです。

では、ツーリングでも革ツナギを全面推しするかというと、答えはNOです。もう、明確にNO。先ほどから書いているように、夏場はひたすら暑いのが革ツナギ。しかも脱着がひと仕事なので、それだけで体力が奪われます。「じゃあ冬ならいいのか!」と言われたら、やはり答えはNOです。冬の革ツナギはかなり寒い! 結局上から何かを羽織ることになり、せっかくのメリットである動きやすさが損なわれます。

レースは過酷ですが、実はツーリングも過酷。というのは、乗っている時間がものすごく長いのです。レースでの走行時間は、MotoGPが40分前後、鈴鹿8耐でも1時間です。一方のツーリングは、5時間、6時間なんて当たり前ですよね。休憩を入れたとしても、長時間にわたってバイクの上でほぼ同じ姿勢を取り続けるのですから、見た目以上に結構ハード。着用するウエアが快適でなければ、疲労度が飛躍的に増してしまうのです。

繰り返しになりますが、革ツナギの運動性や安全性は非常に高いものです。スポーツライディングをするならこれ以上のウエアはありません。しかし、舞台が公道だということを考えれば、革ツナギが性能を発揮しない程度の走りに留めるのが正解でしょう。つまり、革ツナギの運動性が必要なほど攻めた走りをせず、革ツナギの安全性が必要な事態に陥らない=転倒しないことです。無理せず・飛ばさずの公道ライディングなら、そうそう「革ツナギでなければならない!」ということはないはずです。

と、言いつつも、公道でも正装をまといたくなる気持ちも分かります。カッコいいし、気分が引き締まりますよね。でも、革ツナギで公道を走る場合は、通常以上にこまめに休憩を取り、通常以上の安全運転をくれぐれも心がけてくださいね。

取材・文/高橋剛

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