メソポタミア文明やソクラテスの時代の料理を再現する料理文献研究家がいるのをご存知だろうか。今回はビジネスパーソンが帰宅後や週末の休みの日に簡単に作ることのできる料理レシピを歴史料理研究家の遠藤雅司さんに、教えてもらった。ぜひ作ってみよう!
メソポタミア文明時代の料理レシピ3選
今回、遠藤さんが教えてくれたのは、おつまみ、ビールカクテル、週末の男の料理の3品。それぞれ、どの辺りがメソポタミアなのかということも含めて、教えてもらった。
「文明の発祥の地ともいわれる古代メソポタミアは、二つの川の間の土地という意味を持ちます。このチグリスユーフラテス川が肥沃な大地をもたらし、灌漑(かんがい)農業によって大麦、小麦が収穫される穀倉地帯へと変貌していきました。また、自然の恵み(水)を享受したことで、羊、山羊、牛などの牧畜が生まれました。
そんな古代メソポタミアの料理の特徴の一つにパンとビールがあります。古代メソポタミア文明の象徴です。どちらも自然にできたものではなく、人間の手を介して作り上げた人間だけが味わうことのできるおいしいものととらえられました。そこで今回は、パンとビールを使ったものを中心にご紹介します」
1.簡単にできる絶品おつまみ
「古代メソポタミアパン」
【材料】
ビール500ml缶
エンマー小麦(古代小麦) 200g
セモリナ粉 200g
薄力粉 200g
塩 1つまみ
ハチミツ 少量
【作り方】
「エンマー小麦(古代小麦)、セモリナ粉、薄力粉、塩、ハチミツをボウルに入れて、ビールを注ぎます。よくこねたあと、耐熱容器に移し余熱したオーブンで180℃45分焼き上げて完成です」
●解説
「パンとビールの結びつきは強いものです。湿ったパンからビールが生まれ、ビールの酵母からパンが作られました。今回ご紹介したパンは、イースト菌を使わず、ビールを注いでパンを作る原始的な体験を味わえるパンです。食材をボウルに入れて混ぜて、オーブンに予定時間入れれば完成なので、簡単に作ることができます」
2.簡単にできるビールカクテル
「メソポタミア風ビールカクテル『ニンカシ』」
【材料】
ビール 200ml
白ワイン100ml
ハチミツ 大さじ1程度
ミント 適量
【作り方】
「パンをオーブンで焼いている時間にビールカクテルを作ってみましょう。グラスにビール、白ワイン、ハチミツを加えてミントを入れて完成です」
●解説
「ニンカシとはビールの女神。シュメール人たちが、女神ニンカシにささげたビールです。ハーブとハチミツとワインを入れて醸造されたと言われています。現在は酒税法があるため、醸造工程から作ることはできませんが、ここからヒントを得てビールをベースにしたニンカシ風ビールカクテルです。カクテルのパナッシェやシャンディガフのような味わいを楽しめます。
当時のビールはビールの醸造工程でハチミツとハーブとワインを入れて醸造しました。ワインは古代メソポタミアではなく、現在のジョージアあたりから運ばれてきた『丘のビール』の異名を持つものを使用し、それを加えてビールを作りました。当時はもちろん冷蔵庫もありませんので、抗菌のためにハーブを入れました」