PCAudioでもっとも音に影響力を与えているのは、DACではなく、やはりスピーカーである。素晴らしい録音のハイレゾ音源であってもノートPC内蔵スピーカーやデスクトップのPC用アクティブスピーカーでは、その実力を発揮させることはできない。左右独立DAC+DSP+マルチアンプ内蔵のモニター用アクティブスピーカーなど未来指向の製品も登場してきた今日でハイレゾを活かすためのスピーカーの条件とは何かを考えてみよう。
音場感に優れていること
ハイレゾ音源は情報量が多く、空間表現も得意だ。楽器の位置関係や奥行き感などがリアルに再現される。小型スピーカーであればニアフィールドで聴くため直接音が増え、部屋の影響を受けにくい。また小さいのでセッテイングの自由度も高い。一般的にはフラットな周波数特性でスピーカー自体に音色のクセがないモニタースピーカーのようなタイプが音場感に優れている。
音の情報量が多いこと
ハイレゾとCDとの違いは高域の再生限界ではなく、CDが省略していた音を拾い出して記録した情報量の多さだ。これらの音をキチンと再生してもらえないとハイレゾの良さは分からない。どんなスピーカーなら情報量が多いかを決めるのは難しいが、薄くて軽い振動板に強力な磁気回路を組み合わせて敏感に動くユニットが良さそうだ。フルレンジに限れば、大口径ユニットよりも小口径の方が有利だと思う。
ワイドレンジであること
ハイレゾ音源を高性能DACで再生すると驚くほどワイドレンジなのだ。特に低域のスピード感が素晴らしい。低域再生を考えればスピーカーは大型の方がいい。小型スピーカーでバスレフ型だと特定の低域のみが強調され、レスポンスも鈍くなるので要注意だが、密閉式を選ぶと低音の量感が寂しくなってしまう。パッシブラジエータという妥協点もあるが、採用しているスピーカーは少ない。高域の再生限界に関しては20kHz以上は雰囲気なのであまり気にする必要はない。試聴してきた印象ではリボンツイーターがハイレゾ音源の実力を引き出す力があると感じた。
この3点に注意すればハイレゾの高音質を満喫できるスピーカーに巡り会えるはずだ。PC Audio Labは主にデストップシステムの構築を目指すので、取り上げるスピーカーは超小型からブックシェルフ型が多い。フロア型スピーカーを探している人は上記の条件を踏まえて候補を絞り込んで専門店で試聴することをオススメする。フロア型のトレンドはトールボーイである。小型スピーカーは2Wayリアポートバスレフが多数派だ。デスクトップに置いて使うことが多い小型スピーカーだが、理想は耳の高さとツイーターを揃えること。一度はこのセッテイングで聴いてみて欲しい。スピーカーが決まったら、人工大理石ボードやスパイクなどを使って好みの音質を追求しよう。