2代目で、それまで4段階だった最低地上高を5段階に増やし、エンジンも大型化した。3代目となった現行モデルは、各部にアルミニウムを取り入れて、軽量化に務めている。アウディは初代の『オールロードクワトロ』からこのシステムを搭載しているが、実はアウディより前に、スバルが『レガシィ アウトバック』で同種のシステムを採用したことがあった。だが、たった一代だけで止めてしまった。
カメラマンでアウトドアーズマンの友人が、発表と同時に飛びつき購入したが、このモデルが消滅したことをとても残念がっていた。止めた理由をセールスマンに訊ねたところ、「最低地上高を上下させるシステムに故障が頻発したから止めてしまった」とのことだった。今からでも遅くない。スバルには開発を継続し、ぜひシステム装着を復活させてもらいたい。
『A6オールロードクワトロ』への愛が深まったのは、クルマが素晴らしいのはもちろんだが、その素晴らしさがあまり理解されていないということも大きい。同業者でも、最低地上高を上下動させられることの意義をきちんと説いていたのは、記憶の中では笹目二朗さんがwecCGで書いていた試乗記ぐらいだった。
“理解されない愛ほど深くなる”とボードレールは言ったが、僕の『A6オールロードクワトロ愛』はますます深くなっていくだろう。ちなみに、同じ『オールロードクワトロ』と名が付く『A4オールロードクワトロ』も一緒にカタログモデルとして販売されるようになったが、こちらは最低地上高を変えることはできない。念のため。
■関連情報
http://www.audi.co.jp/jp/brand/ja/company/news.detail.news~pool~2014~08~14081802.html
文/金子浩久(かねこ・ひろひさ)
モータリングライター。1961年東京生まれ。新車試乗にモーターショー、クルマ紀行にと地球狭しと駆け巡っている。取材モットーは“説明よりも解釈を”。最新刊に『ユーラシア横断1万5000キロ』。