■スタックしないで走るには?
凸凹のあるラフロードでスタックせずに走るために大切なことは、クルマの床下やサスペンション、ディファレンシャルなどがどこも路面や雪面に接することなく走り抜けられるかどうかに掛かっている。そのためには、軍用車のようにハブリダクション方式を採用し、ディファレンシャルなど大きくカサが張るものを用いずにすむようにするか、最低地上高を上げるしかない。
しかし、最低地上高を上げたままで舗装路でスピードを上げてしまっては安定性が損なわれるだけでなく、乗り心地も損なわれ、空気抵抗も大きいから燃費も悪くなる。別荘に置いたままにするようなクルマならかまわないが、普段は街中に暮らしていて週末や休暇に山に行くようなライフスタイルの、多くのアウトドア派は、山に至るまでの長距離を移動しなければならない。そのため、ある程度の静粛性が確保されていなければ、ドライバーも乗員も長距離走行で疲れてしまう。
また、エアサスペンションだから最低地上高はオートモードでは自動調整され、荷重に影響されず、常にフラットな姿勢を取ることができる。確実で上質なアウトドアスポーツでのアクティビティーを実現するためには、フィールドでは車高を上げ、フィールドへの往復では車高を下げなければならない。
■こうして愛は深まった
初代モデルでは、雪の積もった林道を一度もスタックせず走り切り、そのまま高速道路で帰京することができた。また、大きな岩があちこちに顔を出している山の中のラフロードでは、岩にヒットすることなく走り抜けたこともある。いわゆるSUVに劣らない悪路走破性を持っていることに驚かされた。
また、本を約300冊、東京から群馬の山間部まで運んだ時も舌を巻いた記憶がある。相当な重量を積んでいたのに、上信越自動車道の曲がりくねった急な上り坂をものともせず、ハイペースで目的地まで辿り着くことができたのだ。エアサスペンションの車高自動調整機能が働き、重いものを積んでいるのにもかかわらず、ピッチングもロールも小さく抑えられ、フラットな姿勢を保つことができた。
本来ならクルマが2台なければできないようなことを、『A6オールロードクワトロ』は1台でこなしてしまう。それも、運転しながらボタンを押すだけで。“オールロード”と謳っているだけあって、本当にどんな道でも走りこなし、前に進むことができる。それも、速く、快適に。