700万円超えの高級車は庶民にとって高嶺の花だが、いろんな“こだわり”を探してみるとこれがおもしろい! ファーストクラスを思わせるシートから、一歩未来へ進んだ操作性まで。いつかは手に入れたい高級車の隠しワザについて、各社の担当者たちに裏話を聞いてみた。
◎ウチのクルマの隠しワザ教えます!
トヨタ自動車 製品開発本部・主査
吉岡憲一さん
見えない部分では、乗り心地と、操縦安定性の両立に最も注力しました。ダブルウイッシュボーンリアサスペンションを新たに開発し、ボディーの剛性と遮音性を高めるために溶接などを徹底的に見直し、乗り心地のよさ、高い静粛性、走行安定性など、基本性能から向上させています。
運転を楽しむクルマと、運転は任せて後部座席で優雅にくつろぐクルマ。どこに座る人を優先するかで、クルマの価値や機能は違ってくる。まずは後部座席の豪華さに特化したゴージャスなミニバンから。
---ゆったりとしたシートの座り心地は、まさにファーストクラス。どんなユーザーを想定して造ったんですか?
吉岡さん 前モデルの『アルファード』で法人需要が高まり、移動中の車内で仕事をしたり休憩するニーズが増えました。そこで法人や富裕層、VIPのお客様に車内でより快適に過ごしていただくための『エグゼクティブラウンジ』を開発したんです。
---室内に入った時の重厚感や走行中の静粛性は、これまでのミニバンとは一線を画す〝超高級〟な印象です!
吉岡さん セカンドシートは、ロイヤルボックス(オペラ鑑賞の特別席)を意識して開発しました。ロイヤルボックスは、シートだけではなく、絨毯、テーブルなどオペラを楽しむための空間そのものがデザインされています。違うのはクルマは動くということ。装備の質感や座り心地に加え、高い静粛性や乗り心地のよさを追求し、乗った人が質的な高級感を感じられるよう作り込んでいます。
---なるほど。ビジネスエリートの新たな最終目標ですね。
◎日本を代表する高級ミニバン
トヨタ 『ヴェルファイア HYBRID Executive Lounge』
『ヴェルファイア』の中でも、インテリアの豪華さを特化した最上級クラスがこれ。『エグゼクティブラウンジ』だけで(『アルファード』と合わせて)、発売から1か月の受注が約3000台というから驚きだ。
Specification
?全長×全幅×全高:4915×1850×1950mm
?ホイールベース:3000mm
?車両重量:2220kg
?排気量:2493cc
?車両本体価格:703万6691円
?エンジン型式:直列4気筒DOHC+モーター
?最高出力:152PS/5700rpm ※
?最大トルク:206N・m/4400?4800rpm
?変速機:電気式無段変速機
?燃費:18.4km/L
※エンジン+モーターの最高出力は197PS
アームレストに内蔵された木目調のテーブルを出せば、急ぎの仕事も片づけられる。LED調光読書灯をつければ手元もくっきり。
サードシートは左右に跳ね上げて荷室容量を稼げる。フロア下には深い隠し収納もあり。実用性もしっかりと併せ持っている。
適度な硬さで体を包む運転席の座り心地のよさは、高級なワーキングチェアのよう。室内は視覚的な質感も、静粛性も実に高い。
天井に光のラインをともす室内照明は、16色の色調と4段階の明るさに調整できる。トヨタ史上初めて採用した記念すべき隠しワザ。