軽自動車が200万円を超えたのではない。こだわりのスポーツカーを”軽”という枠で造ったらたまたまこんな価格になっただけ。ボディーはコンパクトでも走行性能に妥協なし。日本でしか買えないスペシャリティーカーの実力とは?
日常の中で役立つ道具として自動車をとらえた、生活者の視点で評論をするモータージャーナリスト。本誌では「車快の窓」を連載中。
◎日常か、非日常か。対照的な2台の個性
世界でわずか2車種しか販売されていない軽自動車枠の2シータースポーツカー。それが『コペン』と『S660』。
「昨年6月、2代目として登場した『コペン』に乗ると、フロントが軽くてヒラリヒラリとコーナーをクリアし、これだよねと感激しました。で、その約1年後に『S660』に乗ると、バランスの良さ、運転の楽しさがビンビンと伝わってきた!」
自動車生活探検家の石川真禧照さんは、2台の走りをそう評価した。実際、2台を乗り比べるとキャラクターに大きな差が。
『コペン』は、ドライブ性能の楽しさに加えて荷室も大きめ。日常の買い物から、カップル旅行まで十分に使える。一方、『S660』は、官能的な操縦を楽しめる半面、乗り心地は硬めで荷物もほとんど入らない。よってソロドライブに好適だ。
『S660』には、卓越した走りと時代を変えるデザインを具現化した開拓者のスピリットが宿り、『コペン』には、ほどよい楽しさと乗用車としての利便性を併せ持つ手堅さを感じた。