■Performance
正直、SPECというメーカーには馴染みがなく、クラスDのモノラルパワーアンプに興味があったので製品を借用したのが、これが大当たりだった。SHANTI「BORON TO SING/Killing me Softly With His Song」(96kHz/24bit)では、イントロからS/N感のよさが分かる。ボーカルが生々しく、高域のヌケが心地良い。これはBTLモノラルでApogee『Duetta Signature』を鳴らした時の印象。DACはリファレンスのResonessence Labs『INVICTA MIRUS』をEL SOUND『highendvolume XLR custom』経由でバランス接続している。非常に解像度が高い音で、小音量再生でもバランスが崩れない。
一番のポイントは音場感の素晴らしさだ。さすがモノラルパワーアンプと思わせる左右に広々とした音場が展開する。また、一般的に解像度が高い音は粒立ちがよく中高域重視だが、本機の場合は、解像度が高く、中低域に馬力とスピード感がある。粒立ちがいいと思っているとボーカルはなめらかに聴かせてくれる。一言でいえば音楽を楽しませてくれるパワーアンプだ。BTLモノラルから、通常のモノラルに変更すると、さらに繊細な音が楽しめる。ボーカルはよりなめらかにしっとりと声の消え際が美しい。しかし、低域の馬力のある感じはBTLの方がよかった。どちらにするかは聴く音楽のジャンルと接続するスピーカーによって決めることになるだろう。
専用ボリュームコントローラーとEL SOUND『highendvolume XLR custom』を比較してみると、専用ボリュームの方が、音が鮮明で粒立ちがよく、情報量が多い。よりダイレクトにパワーアンプの個性を伝えてくれた。もし、入力1系統で切り替える必要がなければ、この専用ボリュームを使うことをオススメしたい。もうこれはオプションではなく付属品にして欲しいのだ!
今回は拙宅だけなく、ラボメンS氏宅でも試聴した。スピーカーはDIATONE『2S-3003』、パワーアンプは超ヘビー級のPass Lab『X350』である。『RPA-W5ST』は鳴らしにくいとされているDIATONE『2S-3003』を楽々とドライブした。解像度も高く音場感もよかった。S氏の感想は「確かにウチのアンプよりもいいけど、買い替えるほどじゃないね」これは負け惜しみも含まれた発言に思えるが、クラスDがクラスAのヘビー級アンプに判定勝ちしたのだ。
拙宅では鳴らせない大音量で再生しても『RPA-W5ST』は余裕で応えてくれた。これ以上の大音量はS氏の新リスリングルーム完成を待つ必用があるだろう