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【PC Audio Lab】クラスDの新世紀を切り開くSPECのパワーアンプ『RPA-W5ST』

2015.11.27

■連載/ゴン川野のPC Audio Lab

クラスDの新世紀を築くパワーアンプ、SPEC『RPA-W5ST』

■Introduction

SPECの創立者、石見周三氏は元PIONEERの社員である。56歳の時に退社して9人の技術者仲間と作ったハイエンドオーディオメーカーがSPECだ。いかに生音に近い音出して人を感動させることができるかをテーマにプリメインアンプの製品化を始めた。選んだのはクラスD、PWM方式。クラスDのDはデジタルのDではないのだが、方式としてはデジタルアンプなのだ。電力効率が高く、発熱量が少ないため、小型軽量で大出力が得られるのがクラスDのメリットである。

PWM(Pulse Width Modulation)方式のアンプと言えば、効率はいいが音はイマイチという印象があった。1990年代後半から電子機器に採用され、カーオーディオ機器やAVアンプなどに採用されてきた。音質はどんどん向上して最近では「JeffRolandDesign」や「MarkLevinson」などのハイエンドメーカーもクラスDのアンプを発売している。これに対して国産オーディオメーカーでプリメインやパワーアンプに積極的にクラスDを採用している所はない。誰もやっていないから始めたのかどうかは分からないがSPECはクラスDのプリメインアンプの製品化に着手。海外で高い評価を受けて、フォノイコライザーアンプ、アナログターンテーブル、SACDプレーヤー、パワーアンプ、そしてネットワークプレーヤーまで守備範囲を広げている。

SPEC初のパワーアンプは、PWM方式で出力100W+100W(4Ω)で重さ6.2kgと小型軽量。希望小売価格37万8000円と同社としてはハイコスパなモデルとなる。

■Design

SPECのアンプには木材ベースシャーシが採用されている。『RPA-W5ST』もこのコンセプトを踏襲してサイドパネルインシュレーターと呼ばれる方式を採用。サイドパネルの下部が膨らみ、それがインシュレーターの役目を果たしている。これにリアのウッドのインシュレーターを加えた3点でアンプを支える。素材はスプルースと単板の楓材で、オーディオ機器は楽器であるという同社の思想を具現化したものだという。

サイズは幅350×高さ95×奥行き375mm、重量6.2kgとコンパクト。借用を躊躇してしまうほどヘビーなパワーアンプと違い、非常に扱いやすいのだ。入力はバランスとアンバランスの2系統。発熱の少ないクラスDのメリットを生かして完全密閉構造を採用。外部のホコリの進入を防ぎ長期間、安定して動作する。ネジのトルク管理もされているため開封厳禁である。BTL接続に対応、本機を2台でモノラルパワーアンプとして使える。また2台をバイアンプ接続してツイーターとウーハーを独立してドライブできる。本機にはアナログ電子ボリュームが内蔵されており、別売の専用コントローラーを使って2台のアンプの音量を同時に調節できる。

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