昨年のダイハツ『コペン』に続き、久しぶりに登場した国産のオープンスポーツ、『ロードスター』と『S660』。クルマ好きなら、一度は乗ってみたい2台だが、はたしてどこまで進化したのか?
マツダ『ロードスター』の納車待ちは3か月。一方ホンダ『S660』は1年以上。今年に入って発売された国産オープンスポーツは、どちらも最近の国産車では考えられないほど長期間の納車待ちとなり、人気となっている。
2台とも2シーターで、『ロードスター』は1.5Lエンジンだが車幅が1.7mをオーバーしているため、3ナンバー登録となる。『S660』は軽自動車枠で造られているが、座席の後方にエンジンを配したミッドシップカーだ。
どちらも走る楽しさを追求したクルマだが、実はその性格はかなり違う方向性を持っている。
◎原点回帰を目指した『ロードスター』
新型『ロードスター』は今回で4代目になる。デビューから一貫してバランスのとれた走りの楽しさを追求してきた。ところがその進化がマニアックになりすぎたということで、4代目は原点回帰。誰でも運転する楽しさを味わえるやさしいスポーツカーを目指した。
当然、日常の足としても使えるよう、実用性、利便性も配慮されている。リアのトランクスペースは3代目よりも大きくなり2人で1泊以上の旅行にも出かけられる。車線逸脱警告などのレーダーとカメラを使った先進安全装備も搭載されている。変速機も6速AT、6速MTを用意。パドルシフト付きのATでも十分スポーツドライビングが楽しめる。また上級グレードにはヘッドレストにBOSEのスピーカーが埋め込まれている。
◎硬派に走る楽しさを追求した『S660』
一方のホンダ『S660』はというと〝スパルタン〟なハンドリングマシンだ。同じホンダの「Nシリーズ」の仲間と思えないほど、室内は大人2人のミニマムスペース。2人乗ったらバッグどころか、スマホの置き場所も考えてしまうほどスペースはない。それはトランクも同じ。ホロを巻いて筒状に収納したら、他には何も入らない。〝6速MT〟以外に考えられない、ピュアスポーツカーなのだ。
ただ、ホロが簡単に開閉できるので誰でも気軽にオープンカーライフが楽しめるのがいい。かつての同社の『ビート』のイメージを彷彿とさせる軽快な走りで、パワートルクを街中でも出し切れる感覚が満喫できる。燃費も悪くない。
久々に登場した国産オープンスポーツは、かつてオープンカーに乗っていた世代の心を揺さぶってくれる。気になる方は、ぜひ自分の目と体で確かめてみてほしい。