■大人になって初めて知る、色が変わる秘密
確かに、昭和を生きた少年・少女ならば分かるはずだ。その昔は、合成着色料など当たり前! 駄菓子屋さんで買ったお菓子を食べれば、口の中が赤や青色に染まるものだった。が、時代の流れの中で、食の安全・安心が強く求められるようになっていく。「ねるねるねるね」が発売された86年は、まさにその端境期だった。
津田さんは、「確かに、見た目はかなり不思議ですよね」と笑ったあとで、
「でも、赤キャベツなどの野菜やクチナシの色素をはじめとした着色料を使用しており、合成着色料は使用していません。安全なお菓子であることを説明し続けました」という。
また、なぜ色が変わるのか? 膨らむのか? そのヒミツもパッケージに記すようにした。例えば、「ねるねるねるね ブドウ味」の色は、pHによって色紫キャベツの色素の性質を利用。この色素は“アントシアニン系色素”と呼ばれが変化する、酸性、アルカリ性のものを混ぜると色が変化する。そう、小学校の頃にリトマス試験紙を使って習った“あの原理”だ!
ふくらむ成分も、果物などに含まれる“クエン酸”と、ふくらし粉などに入っている“重曹”を使用。これらが反応してできる炭酸ガスを、卵白や増粘多糖類で、クリーム状の泡に仕上げているのだ。つまり、お菓子で遊びながら、化学の一端を見せられるというわけだ。
そして、同社では「創造力など子どもの成長に必要な力を育んでもらいたい」という願いから知育菓子? と名付けたお菓子の新カテゴリーを築き上げ、ユーザーから信頼性を得るようになったのだ。