■連載/阿部純子のトレンド探検隊
超が付くほど暑がり体質の私は真冬でもダウンやウールのコートは蒸れてしまって着られない。そんな自分にとって秋から冬、そして春先まで着られて重宝するのがライナーで調整できるトレンチコートだ。デザインが定まっているトレンチコートはそれこそピンからキリまであるが、仕立ての良いものを選ぶとやはりそれなりの値段がしてしまう。
仕事帰りにデパ地下に行こうと三越日本橋本店に立ち寄ったところ、目に留まったのが偶然開催されていた三陽商会の「サンヨー・コートフェア」だった。フロアにはトレンチコートを始めさまざまな種類のコートが並んでいる。トレンチコートを手に取ると「100年コート」のタグが付いていた。早速スタッフの方に訊ねてみる。
「100年コートとはどういう意味ですか?」
「世代を超えて長くご愛用いただける意味合いが込められています」
「本当に100年も持つんですか?」
「実際に100年間着用される方は稀かと思いますが、メンテナンス・サポートがあり、補修をして長く着用いただくことができます」
スタッフの方が強調していたのが「純国産品」ということ。「100年コート」は三陽商会が『TIMELESS WORK.ほんとうにいいものをつくろう。』をキャッチフレーズにはじめたプロジェクトで、2013年に設立70周年を迎えたことを機に、三陽商会の象徴となるようなモノをつくりたいとの思いから誕生した製品だという。
日本ファッション産業協議会が主導し、経済産業省が繊維政策のひとつとして掲げている高付加価値化への取組みである純国産表示制度「J∞QUALITY商品認証事業」の商品認証第1号(番号:S15AW000001)も取得した。素材の織り編み、染色整理加工、縫製のすべてを国内で行なっている。
三陽商会のトレンチコートといえばバーバリーの印象があるが、英国バーバリー社とのライセンス契約が終了した現在、メイド・イン・ジャパンの高品質でコストパフォーマンスの高い「100年コート」を前面に打ち出していると感じた。実際に「100年コート」の評判は良く、2014年度の売上は前年の約3倍で推移しているという。