■連載/石野純也のガチレビュー
iPhone Xの直接的な後継機にあたるiPhone XSや、大画面化したiPhone XS Maxに続き、3機種目となるiPhone XRが発売される。64GB版が10万円を超えたiPhone XS、XS Maxとは異なり、価格も抑えめなことから“廉価版”と評されがちなiPhone XRだが、実態は異なる。CPUは上位モデルと同じ「A12 Bionic」で、処理能力は高く、カメラもシングルながら、iPhone XS、XS Maxのワイド側と同じもので、スマートHDRなどの新機能にも対応する。
一方で、ディスプレイはiPhone Xシリーズの代名詞だった有機ELではなく、液晶が採用されている。フレームもステンレススチールではなく、iPhone 8、8 Plusまでと同じアルミ製だ。また、圧力を検知し、さまざまなショートカットメニューなどを表示させることが可能な「3D Touch」にも非対応になっているなど、コストダウンの努力は、随所に見え隠れする。
では、iPhone XRの実力はどの程度のものなのか。発売に先立ち実機を借りることができたので、そのデザインや性能をレビューしていこう。
10月26日発売のiPhone XR
カジュアルに持てそうなカラバリで、高級感もキープ
デザインはiPhone Xを継承しており、ディスプレイは縦に長く、上部にはノッチも存在する。ただし、有機ELの代わりにバックライトが必要な液晶を採用したこともあって、iPhone XSやXS Maxと比べるとベゼルのフチが太くなっていたり、厚さが増していたりといった違いもある。
液晶を採用したためか、ベゼルが少しだけ太い
結果として、シャープなiPhone XS、XS Maxに比べると、どこかかわいらしさがある仕上がりになっている。レッドやブルー、イエローといった、これまでのiPhoneにはあまりなかったカラーバリエーションも、こうした印象を強化する理由の1つだ。iPhone Xシリーズは渋めのカラーが多かっただけに、新鮮な気持ちになってくる。
もっとも、背面はガラス素材で、光が当たるとキレイに輝き、一定の高級感はある。ステンレススチールと比べると色は鈍く見えてしまうかもしれないが、フレームもアルミで強度は十分。スマホでは一般的な素材ではあるものの、安っぽさは特に感じない。カジュアルさと高級感を上手に両立している印象だ。
背面はガラスを採用。試用した「(PRODUCT)RED」は、赤がきらりと輝くところが魅力的
側面のアルミフレームは、酸化皮膜処理で背面と同系色になっている
後述するが、背面にカメラが1つしか搭載されていないことで、デュアルカメラのiPhone XSやXS Maxよりもすっきりした見た目になっているのもポイントといえるかもしれない。カラーリングが特徴の1つになっているだけに、あえて透明なスマホケースをつけたり、裸で運用したくなってくる。
ディスプレイはiPhone XSとXS Maxの中間にあたる6.1インチ。5.8インチのiPhone XSよりやや大きめだが、iPhone XS Maxほどは片手持ちしづらくない。手の大きな人であれば、多くの操作を片手で済ますことができるはずだ。
片手でも、上部にあるアイコンまで指が届く
また、6.1インチながらアップル的には、iPhone XSを“大画面モデル”と位置づけていることがうかがえる。メールやカレンダーなどの一部内蔵アプリは、横に倒したときに2ペイン表示になる「ランドスケープモード」に対応しているほか、大画面モデル専用だった「拡大表示」も利用できる。これらの機能は、iPhone XSには非対応。位置づけとして、iPhone XS Maxに近いと見ることができる。
ランドスケープモードに対応しており、拡大表示も可能だ