有名企業を辞め「幹事代行サービス」を創業
こんなユニークなサービスを創始したのは、同社を共同経営する秋山祐太朗さんと辰巳衛さんだ。お二方は、2015年に早稲田大学を卒業後、入社した有名企業を辞めて、第二新卒の年齢で創業。リスクを負って起業したきっかけは何だったのだろうか? その点をうかがうと意外な答えが返ってきた。
「社会人2年目の年から2人でルームシェアをしていたのがリリットの原点です。元々2人とも将来起業したいという漠然とした思いを抱えており、2年近くの歳月を重ね、1000個近くのビジネスアイデアのブレストを行う中、漠然とした起業への思いは、確信へと変わっていきました」
秋山さんは銀行を辞めてスタートアップに転職。その後1度目の起業のBtoCサービスには失敗。昼間は起業アイデアを考え直し、夜は居酒屋で働く日々を送る。スマホが普及しネット上の飲食店の情報は増え続けているのに、情報ニーズが満たされていないことに、何かチャンスがあるのではと、秋山さんは考えた。
他方、辰巳さんは、商社でM&Aや事業投資の仕事をバリバリとこなしている中、幹事業務が悩みの種としてつきまとったという。
「商社といえば、やはり飲み会のイメージがまだまだ強いのではないでしょうか? 転勤や出張、駐在に伴う歓送迎会の嵐、季節の行事や、不定期に開催される大学ごとの飲み会の数々…それに伴う幹事業務がかなりの負担になっていました」
秋山さんも、銀行員時代には新人に押し付けられる幹事業務の苦労があった。そして、居酒屋の世界に身を置くうちに、「この幹事業務における課題を解決したい!」という閃きが生まれた。
「その後、アイデアをブラッシュアップし、顧客にとって最適な仕組みを考えた結果、生まれたのが、LINE@を活用した無料の宴会幹事代行サービス、リリットというわけです」
幹事代行というサービス自体は立ち上げ間もなく、実績作りはこれからとなるが、ビジネスとしての勝算は高いという。
「おかげさまで、少し前に登録人数が300人を突破しました。エリアを新橋、虎ノ門、霞ヶ関、銀座に絞って事業展開しているので、周辺の総合商社や広告代理店、メーカーや大手通信会社等、大企業の若手社員がお客様の中心です」
利用者からは、「面倒くさいお店選びが本当に楽になった」、「個室のお店のレパートリーが豊富なので助かります」など、高い評価の声が寄せられているという。
「エリアを広げてほしい」という要望も多く、将来的にはサービスエリアの拡大、そして「ビジネスマンの幹事業務が劇的に改善される、少し大きな仕掛け」を準備していると話す。実現は2019年になるそうで、幹事は要チェックしておこう。
取材協力/株式会社Leretto
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)