40シリーズと60シリーズの大きな違いのひとつが後席の居住空間。新型V60は身長172cmのドライバー基準で、その背後に着座してもひざ回りに約23cmものスペースがあり(メルセデスベンツCクラスステーションワゴン約19cm、アウディA4 約23cm)、シートの地上高が低めのため、愛犬を乗り降りさせるにも好都合。
その後席の大きな特徴が、かんぺきな空調。エアコンは左右、前後別の4ゾーンコントロール機能を備え、前後席左右の温度を独自にセットできるほか、後席にはセンターコンソール後端、およびBピラーに吹き出し口を完備(吹き出し口は計4つ)。エアコンの効きそのものも、欧州車としてはいいほうだ(イタリア、フランスのクルマは冷房能力が物足りないことも)。
ワゴンのヘビーユーザーならもっとも気になるであろうラゲッジルームの使い勝手も文句なしである。後席使用時の容量は529Lと、メルセデスベンツCクラスステーションワゴンの460L、アウディA4アバントの505Lを凌(しの)ぐ。ラゲッジフロアの地上高は約63cmと、メルセデスベンツCクラスステーションワゴンの約60cm、アウディA4の61(Sライン)~63cmと、やや高いものの、世界のステーションワゴンの平均値と行っていいだろう。
ユニークなのは、ラゲッジルームを前後に仕切れ、フラットに格納できるボード=グロサリーバッグ・ホルダーを装備していること。転がりやすい荷物などを置くのに便利なだけでなく、より広いスペースが確保できる奥側に愛犬(中小型犬)、手前に荷物という載せ方も可能。後席を倒したときの(ラゲッジ側のスイッチでも操作可能)最大荷室フロア長は新型V60が約167cm、メルセデスベンツCクラスステーションワゴンが約160cm、アウディA4が約169cmとなる。
ちょっと不満なのは、後席の分割が6:4であること。ライバルは4:2:4で、中央のひじ掛け部分のみ倒すことができ、ラゲッジルームに愛犬を乗せたときなどに、エアコンの風が届きやすく、アイコンタクトしやすいなどのメリットがある。