痛風を防ぐお酒の飲みワザ!
① 飲み過ぎはそもそも注意
米国でアルコール摂取と痛風に関する12年間の調査が行われました。日々の飲酒習慣がある人は飲酒習慣がない人と比べ、飲酒量に応じて1.49~2.53倍痛風を発症しやすい結果が出ました。アルコールは、尿酸を増やすだけでなく、尿酸の排泄も妨げます。
尿酸を上げない1日の飲酒量の目安は
ビール:500ml
焼酎(25度):90ml
日本酒:180ml
ワイン:180ml
ウィスキー:(40度):60ml
お酒は、適量にしましょう。
② ビールはほどほどに。プリン体カット発泡酒に替えれば良いの?
ビールにはプリン体が豊富に含まれていると聞いたことはありませんか? 蒸留酒(ウィスキーなど)を1日1杯44ml(アルコール含有量14g)摂取している人達とビールを1日355ml(アルコール含有量12.8g)飲んでいる人達はどちらが、痛風発症の危険度が高いと思いますか?
まず、お酒の種類ごとに含まれる「プリン体含有量」の違いを見てみましょう。
プリン体含有量(100ml中)
ビールのプリン体含有量は、非常に多いことがわかりますね。
蒸留酒の痛風発症危険度は1.15倍、ビールでは1.49倍という調査結果もあります。アルコール量の違い(強いお酒か弱いお酒か)だけでは、痛風発症の危険性を説明できません。
ビールは他のお酒と比べ、「たくさんの量を飲めてしまう<結果的にプリン体摂取量も増える>」ことも関係があるでしょう。
近年、特殊な製法でプリン体含有量を減らした「プリン体カット発泡酒」がビールメーカー各社から発売され、10種類以上の商品が店頭に並んでいます。尿酸値が気になる方で飲んでいる人もいますよね?
ビールや発泡酒と比べて「プリン体カット発泡酒」は、各種実験からも尿酸を上げにくいお酒といえますが、2点ほど注意して頂きたいことがあります。
1点目は、(発泡酒に限りませんが)プリン体0という表示は、「栄養表示基準による100mlあたりプリン体0.5mg未満」を指し、プリン体を全く含んでいない訳ではないこと。
2点目は、たとえプリン体の量が少なくても、アルコール自体がプリン体に変化し尿酸値を上げるため、飲み過ぎには注意が必要なこと。
③ 「お酒のおつまみ」選ぶならどちら?
お酒を飲む時の「おつまみ」の選び方も、痛風の予防には重要です。
<フライドポテトVSバターコーン>
フライドポテト(プリン体7mg,114kcal)、バターコーン(プリン体23mg,217kcal)。
野菜類は、肉や魚に比べるとプリン体量は少なめです。味付けが濃く、高カロリーになりがちなので注意が必要です。
<ポークウィンナーの鉄板焼きVSサイコロステーキ>
ポークウィンナーの鉄板焼き(プリン体47mg,330kcal)、サイコロステーキ(プリン体80mg,422kcal)。ウィンナーは加工前の肉と比べるとプリン体量が半分程度です。
<炙り明太子VSタラの白子>
炙り明太子(プリン体48mg,38kcal)、タラの白子(プリン体168mg,20kcal)。
プリン体は細胞の核に多く含まれています。細胞数が多い食べ物である白子(精巣)やレバー(肝臓)は、プリン体が特に豊富なので、注意が必要です。
ほかにも鶏肉、カツオ、マグロ、秋刀魚、海老、イカ、タコなど、「お酒のおつまみ」になりやすい食べ物は、プリン体が多めに含まれています。
野菜や海藻などはプリン体が少ないのでおススメです。
④ お酒の飲み方と生活習慣を見直す!!
飲む回数が増えれば、お酒やおつまみの量も増え、「プリン体」、「アルコール」、「摂取カロリー」が増え、結果的に尿酸値が上昇しやすいです。休肝日を作るなどの工夫が必要です。
尿酸値が高い人は、同時に中性脂肪やコレステロールも高い場合があり、高血圧や糖尿病など生活習慣病になりやすいといえます。
痛風になりやすいのは、「積極的・せっかち・行動的」な人が多いとされています。「食事をすれば早食いで大食い、お酒もガンガン飲む、仕事はバリバリこなし、宴会好き」という、仕事ができるビジネスマンや経営者のイメージです。
皆さん思い当たりませんか? 「4つの痛風を防ぐ飲みワザ」を参考にしてみて下さい。
@DIMEを読まれている方たちは、ストレスが多い生活をされていることでしょう。実は、尿酸値はストレスでも上昇します。十分な睡眠や軽い運動などストレス解消を見つけることがとても大切です。
(池袋さくらクリニック 院長 倉田大輔)