手に負えないときはプロに頼もう
室内が物に埋まりそうなレベルで、たまの帰省時に片づける程度では対処できない場合は、もうプロに頼んだほうが早いし、ラク。
「プロ」といっても千差万別・玉石混交だが、渡部さんは、以下の3点をきちんとしてくれる業者に依頼するのが、間違いないとする。
1. 暮らしやすさ・生活動線から、インテリア・家具の配置の工夫を提案する。
2. 大型のゴミ処分は、まず居住自治体を利用するところからアドバイスする。
3. 時間をかけてでも計画的に片づけをすることを推奨する。
具体的に、頼れるプロはどのように片づけを行うのだろうか? 自身「実家片づけアドバイザー」でもある渡部さんを含むチームによるケーススタディが、ムックの中で5例紹介されている。
例えば、静岡県のとある一軒家のキッチン・ダイニングの片づけの場合―作業前の確認や物の一時保管場所の確保にはじまり、家主に物の由来など聞きながら「捨てる、捨てない、保留」の仕分け、古い缶詰の処分、調理器具や食器の洗浄など、効率も考えながら細かいところまで作業が続く。そして終盤で、家主の手が届く範囲で普段使いの物を置き、手の届かない吊り戸棚は空っぽにし、吊り下げ収納はは避ける、包丁は中にしまうなど、防災も考えた片づけでしめくくる。こうして、正味4時間で「50年分の食器類がわんさか」というキッチンをきれいに片づけている。
片づけのプロの手にかかれば、流れ作業のように部屋が整ってゆく(ムック32pより)
プロの手による生前整理は比較的リーズナブル
家実家片づけ整理協会サイトのサービス価格を見ると、「お試しプラン 2時間」で1万円~、「キッチン整理収納プラン 3時間」で2万4000円~などとなっている。
価格は、地域や片づける物の量によって変動するが、突然必要に迫られて行う遺品整理よりも、生前整理のほうがおおむねリーズナブル。ごみ屋敷に近い状況になってから遺品整理を頼むと、かなり高額になるので、やはり親が元気なうちからプロの手も借りつつ、片づけていくのが正解と言えそうだ。
協力/渡部亜矢さん プロフィール
神奈川県生まれ、東京在住。銀行、出版社等を経て、一般社団法人実家片づけ整理協会代表理事。少子高齢化社会に特化した「実家片づけアドバイザー®」認定講座や終活ワークショップなど様々な講座を展開するほか、講演実績・メディア出演多数。著書に『カツオが磯野家を片づける日』(SBクリエイティブ)、『プロが教える実家の片づけ』(ダイヤモンド社)などがある。実家片づけ整理協会公式サイト:https://jikka-katazuke.jp/
マンガ/下田麻美さん
画像/株式会社マガジンハウス
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)