ICOの盛り上がりは機関投資家の参入が原因
ICOは、2013年あたりから始まり、年々、資金調達の金額は増加している。それに伴い、ICOに投資する個人投資家も増えていった。
特に、昨年はビットコインブームに乗って、ICOで発行されたトークンの中から短期間に暴騰するものが続出。数百倍や数千倍はもとより、1万倍以上に上昇するものも登場したのである。ビットコインの陰に隠れていたものの、ICO投資も一大ブームとなっていたのだ。
では、今年のICOの状況はどうなっているのか。実は、ICOによって調達された資金は、今年は7月初旬の段階で、昨年1年間の約7700億円を大きく上回る、約1兆5000億円にまで膨らんでいる。
「ICOのマーケットに大量の資金が流入している原因は、ベンチャーキャピタルと呼ばれる、主にベンチャー企業に投資するプロの投資家たちがICOに参入しているためです」
このようにICOをする企業が増え、そこに投資するプロが増えれば、個人投資家にもメリットがありそうだが、坂元氏はその見方を否定する。
「そもそも、ICOの案件は〝詐欺まがい〟のものが少なくない。優良な案件は100件のうち2〜3件くらいです。ベンチャーファンドは、いち早く優良案件を見抜き、将来性のあるICOに大量の資金を投じます。その結果、個人投資家が投資する〝枠〟がなくなってしまうのです」
株式の新規公開や銀行の融資と違って、ICOには事業内容を審査する機関が存在しない。その結果、資金調達だけをして、事業を継続せずに解散してしまうケースが後を絶たないのである。
上場後のICOの中からお宝コインを見つける
そうした玉石混交の中から、個人投資家がプロを差し置いて優良案件を見つけるのは、不可能に近いといえるだろう。
もはやICOで一攫千金を得ることは無理なのだろうか!?
しかし、坂元氏によると、個人投資家がICOで成功するには、公開され、すでに取引されているものに投資するのが得策だという。
「本来のICOは、株式でいうとこれから上場する株を取得するようなもの。しかし、前述したように、公開前の優良コインはベンチャーキャピタルに買い占められているので、投資する余地がほとんどないのが実情です。そこで、公開されて、取引所で取引が始まり、誰でも買えるようになった優良案件のICOを狙うわけです」