好かれる上司、嫌われる上司の決定的な違い
ここで本題に戻りましょう。新入社員に好かれる上司とは、つまりは怒らない上司。教育の仕方がうまい上司です。怒らなくても、目的を的確に伝えれば、新入社員は自分なりに目的を達成するための手段を考えます。多少遠回りしてでも、部下を信じて仕事を任せてみて、最後に上司が責任を取ってくれると分かれば、デジタルに慣れている彼らは、検索も早いので、調べものは団塊世代より上手です。また、お酒も飲まない世代なので、執拗に飲ませず、ワークライフバランスの良いスマートな上司が好かれる上司です。
逆に嫌われる上司とは、昔はこんなに悪かったという自慢話をする上司。今の若者は、ゴミの分別に始まり、お酒も成人まで口にしたことはありません。大学も完全分煙か全面禁煙なので、喫煙者が減っています。そんな道徳的な彼らに、こんなに悪かったという武勇伝を話しても別次元にしか映りません。キャバクラであれば、「すごーい」位は言ってもらえるかもしれませんが、新入社員からすれば、「コノオジサンハ、ナゼハズカシイコトヲジマンスルンダロウ」となってしまいます。
かく言う私も、かつて石原慎太郎の本を読んで『苦労によって、脳幹が鍛えられて、精神的に強くなれる』と思っていました。部下にも本人の為と思って、叱責をすることもありました。
しかし、今では叱り方を一つ間違えるだけでパワハラ問題に発展しかねません。果たして、今の時代に「叱ること」は本当に必要なのでしょうか。大人になってから怒られるのって、誰もが嫌なはずですよね。私は、争いごとが嫌いな彼らが、将来とても平和なビジネス環境を作るのではと期待しています。最近、街で見かける喧嘩も大抵60代ですもんね。
■渡部 陽(わたなべ・よう)
(株)ユーキャンパス代表取締役社長。1970年生まれ。93年、明治学院大学経済学部卒業後、(株)毎日ツーリスト(現・(株)毎日コムネット)入社。2001年、(株)ユーキャンパスを設立し、大学生向けに特化した広告事業を展開。現在までに全国約670大学でのプロモーション実績があり、自身の足で920キャンパスを訪れている。13年3月にサービスを開始したアプリ『CircleApp(サークルアップ)』は、全国約3,000の大学サークル、約60,000人の大学生が利用している。著書に、複数の内定を得た大学生をクローズアップした、オリジナルの切り口による就職活動本『内定ホルダー』(主婦の友社)がある。ユーキャンパス: https://www.youcanpass.net/