IT大手「サイバーエージェント」がJ2・FC町田ゼルビアの株式80%(発行価格総額は11億4800万円)を取得し、子会社化したというニュースが世間を賑わしている。
同社のグループ会社である「Cygames(サイゲームス)」が、元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスの加入で注目を集めたJ1・サガン鳥栖の大口スポンサーを2015年から務めていることもあり、一部では「鳥栖から撤退するのか?」「トーレスは来季はどうなるんだ?」といった声も聞こえてくる。ただ、今回の買収の動き、イニエスタやトーレスの来日も含め、Jリーグが近年に例がないほど世間の注目を集めているのは間違いないだろう。
サイバーエージェントの町田買収が鳥栖に与える影響
まず、「サイゲームスが鳥栖のスポンサーを撤退するのでは?」という噂に関しては、1日に行われた会見でサイバーエージェントの藤田晋社長が「サイゲームスがスポンサーをするかしないかに全く関わっていない。別に動いているもの。Jリーグの規約上、2つのチームを持てないことは存じ上げている」と今回の町田買収の動きとは関係ないことを強調した。
今回の報道でも話題になったように、Jリーグの規約では1つのオーナーが複数のJクラブの経営に大きな影響を持つことを禁止している。
例えば、2年前にJ1・浦和レッズの大株主であった三菱自動車が、J1・横浜F・マリノスの大株主である日産自動車の傘下に入った際には、規約に抵触するという勧告がJリーグ側から浦和になされ、三菱自動車が所有していた浦和の株式の一部を三菱重工に移したという事例もある。
しかし今回の場合、サイゲームスと鳥栖はあくまでスポンサー契約の関係であり、株式も保有していないことから、実際にサイバーエージェントが町田を子会社化した上で、サイゲームスが鳥栖のスポンサーを継続したとしてもJリーグ規約に抵触しない。
サイゲームス撤退の場合はトーレス流出は避けられず?
一方で、藤田社長はサイゲームスが鳥栖のスポンサーを今後どうするかについては明言していない。そのため、今後グループ一枚岩となって町田を支援していくためにサイゲームスが鳥栖から撤退する可能性は十分にあるだろう。
仮にサイゲームスが鳥栖のスポンサーから降りる事態となれば、年間5億円以上といわれるスポンサー料を失うことになり、代わりとなる大口スポンサーを見つけられない場合は、今夏獲得したFWフェルナンド・トーレスらの流出は避けられないだろう。
つまり、Jリーグ規約には抵触しないものの、サイバーエージェントの町田買収は、少なからずサイゲームスと鳥栖の今後の関係に影響を与えている。
J2・町田ゼルビアとは?
サイバーエージェントが今回買収したFC町田ゼルビアは名前のとおり、東京都町田市をホームタウンとし、2012年からJリーグに加盟している。現在は元日本代表の相馬直樹氏が監督を務め、J2で22クラブ中3位と、本来ならばJ1昇格が狙える好位置につけているが、ホームスタジアムの町田陸上競技場の収容人数が1万328人で、1万5000席以上に設定されているJ1クラブの施設基準を満たさないため、残念ながら今季はすでにJ1昇格はできないことが決まっている。